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11月30日-06号

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  1. 宮崎県議会 2022-11-30
    11月30日-06号


    取得元: 宮崎県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-20
    令和4年11月定例会令和4年11月30日(水曜日)   午前10時0分開議  出 席 議 員(36名)    2番  坂 本 康 郎  (公明党宮崎県議団)    3番  来 住 一 人  (日本共産党宮崎県議会議員団)    4番  山 内 佳菜子  (県民連合宮崎)    5番  武 田 浩 一  (宮崎県議会自由民主党)    6番  山 下   寿  (  同  )    7番  窪 薗 辰 也  (  同  )    8番  佐 藤 雅 洋  (  同  )    9番  安 田 厚 生  (  同  )   10番  日 髙 利 夫  (  同  )   11番  川 添   博  (  同  )   13番  中 野 一 則  (  同  )   14番  図 師 博 規  (無所属の会 チームひむか)   15番  有 岡 浩 一  (郷中の会)   16番  重 松 幸次郎  (公明党宮崎県議団)   17番  前屋敷 恵 美  (日本共産党宮崎県議会議員団)   18番  岩 切 達 哉  (県民連合宮崎)   19番  井 本 英 雄  (宮崎県議会自由民主党)   20番  徳 重 忠 夫  (  同  )   21番  外 山   衛  (  同  )   22番  山 下 博 三  (  同  )   23番  濵 砂   守  (  同  )   24番  西 村   賢  (  同  )   25番  右 松 隆 央  (  同  )   26番  日 高 博 之  (  同  )   27番  井 上 紀代子  (県民の声)   29番  田 口 雄 二  (県民連合宮崎)   30番  満 行 潤 一  (  同  )   31番  太 田 清 海  (  同  )   32番  坂 口 博 美  (宮崎県議会自由民主党)   33番  日 髙 陽 一  (  同  )   34番  横 田 照 夫  (  同  )   35番  野 﨑 幸 士  (  同  )   36番  星 原   透  (  同  )   37番  蓬 原 正 三  (  同  )   38番  丸 山 裕次郎  (  同  )   39番  二 見 康 之  (  同  )  欠 席 議 員(1名)   28番  河 野 哲 也  (公明党宮崎県議団) ─────────────────── 地方自治法第121条による出席者  知     事   河 野 俊 嗣  副  知  事   日 隈 俊 郎  副  知  事   永 山 寛 理  総合政策 部長   松 浦 直 康  政 策 調整監   吉 村 達 也  総 務 部 長   渡 辺 善 敬  危機管理統括監   横 山 直 樹  福祉保健 部長   重黒木   清  環境森林 部長   河 野 譲 二  商工観光労働部長  横 山 浩 文  農政水産 部長   久 保 昌 広  県土整備 部長   西 田 員 敏  会 計 管理者   矢 野 慶 子  企 業 局 長   井 手 義 哉  病 院 局 長   吉 村 久 人  財 政 課 長   高 妻 克 明  教  育  長   黒 木 淳一郎  警 察 本部長   山 本 将 之  代表監査 委員   緒 方 文 彦  人事委員会事務局長 日 高 幹 夫 ─────────────────── 事務局職員出席者  事 務 局 長   渡久山 武 志  事 務 局次長   坂 元 修 一  議 事 課 長   鬼 川 真 治  政策調査 課長   伊 豆 雅 広  議事課長 補佐   関 谷 幸 二  議事担当 主幹   佐 藤 亮 子  議 事 課主査   川 野 有里子  議 事 課主査   内 田 祥 太  議事課主任主事   山 本   聡──────────────────── △一般質問 ○議長(中野一則) これより本日の会議を開きます。 本日の日程は、一般質問、人事案件の採決及び議案の委員会付託であります。 ただいまから一般質問に入ります。まず、岩切達哉議員。 ◆(岩切達哉議員) 〔登壇〕(拍手) 県民連合宮崎立憲民主党の岩切であります。 県議会に関心を持って傍聴にお越しいただいた皆さんや、ネット配信を視聴いただいている皆様、さらには今日は新規採用職員の研修で傍聴にお越しだと伺いました。参考になるやり取りができるように努めたいと思います。 さて、本日は11月30日ということでございます。11月末でございますが、11月は「児童虐待防止推進月間」で、シンボルはオレンジリボンということで、私は年中つけておりますけれども、児童虐待防止に関わる様々な啓発事業が行われました。 また先週11月25日は、田口議員から御紹介いただいた、「女性に対する暴力撤廃の国際デー」ということで、11月12日から25日までの2週間が「女性に対する暴力をなくす運動」という期間になっていました。シンボルはパープルリボンとなります。 県庁がオレンジ色にライトアップされたり、紫色にライトアップされました。虐待もDVも、いずれも家庭内での暴力です。家庭内のことですが、私たちは、社会として対応していこう、しっかり取り組みましょうということに現代はなりました。 虐待やDVを減らすには、またなくしていくためには、その発生するメカニズム、発生する社会背景に目を向けて変化させていくこと、この取組を強化しなければならないと私は考えます。 今後も虐待防止、DV防止の取組に関心を払っていきたいと思います。 そして、オレンジやパープル以外にも、ピンクやレッド、グリーン、イエローと様々なシンボルカラーを定めて取り組まれる福祉課題でありますが、これについての質問は後に回しまして、まずは知事の政治姿勢について質問いたします。 最初に、今お話ししたような福祉社会の充実が私の政治課題なのですけれども、知事のホームページ、個人のホームページ政策提案というページがあり、その文章には、福祉・医療の充実に努めと、1行あります。加えて、先日、選挙に向けた政策集を頂きました。 私は、福祉の充実に強い関心を持つのですが、先ほど紹介した政策提案の中にあります福祉に対する知事の思い、1行の中に込められた思いについて、この間の在任中や、これからのことなど、知事から詳しくお聞かせいただきたいと思います。 次に、日米共同訓練に関しまして質問します。 10月24日に県庁で、日米共同訓練についての連絡協議会が開かれ、11月8日から18日にかけての日米共同訓練に関する説明が、九州防衛局からなされています。 その際のインタビュー記事として、知事は「全て基地内宿泊が、望ましいゴールとは限らない。今後どう考えるか議論が必要だ」とインタビューに答えたとありました。 この意味はどのようなものなのか、基地の外への宿泊を奨励するということなのか。これから何がしかの議論の場を具体的につくっていくということなのか、この発言の趣旨を伺いたいと思います。 次に、国保問題について福祉保健部長に伺います。 国民健康保険は、安定的な財政運営を期待して、平成30年度(2018年度)から県が運営を担うこととなりました。 国保は、高齢者など無業者を50%以上抱える保険制度であり、被保険者の保険料を負担する力が弱いことが課題です。この負担率、医療保険の負担については、勤め人が加入する協会けんぽは収入の9.34%で、これを労使で負担します。健保組合は大企業で、率も低くなり7.62%で、これを労使で負担するのですが、国民健康保険制度は平均8.9%を本人のみで負担する保険であります。これだけでも厳しい負担となっていると理解できます。 その中で、現在は保険税率が市町村ごとに違うのですが、県が運営を担うことになる際に議論となった保険料率の一律化という問題について、これからどうしようと考えているのか、福祉保健部長に質問します。 壇上の質間は以上として、以下の質間は質間者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 おはようございます。お答えします。 まず、「医療・福祉の充実」に込めた思いについてであります。 少子高齢化や人口減少の進行など、社会環境が大きく変化する中、誰もがそれぞれの地域で安心して暮らせる社会を築いていく上で、医療・福祉の充実はその根幹をなすものと考えております。 私はこれまで、医療や福祉に関わる人材の育成・確保や、ドクターヘリの導入、新県立宮崎病院の建設など、医療体制の強化を進めるとともに、地域包括ケアの推進や重度障がい者医療費助成制度の充実など、高齢者や障がい者を地域で支える社会づくり、さらには子育てをしやすい環境や健康長寿社会づくりに取り組んでまいりました。 加えてこの3年間は、新型コロナ対策や顕在化してきた生活困窮者に対する支援、自殺対策にも全力で取り組んできたところであります。 このような中、今回の政策提案の柱に「安全・安心で持続可能な暮らしの実現」を掲げ、医療・福祉の充実をさらに進めていくこととしたところであります。 今後、医療・福祉に対するニーズはますます増大・多様化するものと考えておりますが、高齢者や障がい者、子供たち、また生活困窮者や困難を抱える女性など、支援を必要とする方々の目線に立った施策を推進し、県民の命と健康、暮らしを守り、安心と希望あふれる宮崎を築いてまいります。 次に、日米共同訓練についてであります。 今回の日米共同訓練においては、参加した米軍人110人のうち、そのほとんどとなる90人が基地内施設に宿泊したところであります。 令和3年3月に、私が立会人となり九州防衛局と周辺市町が締結した「米軍再編に係る新田原基地への訓練移転に関する確認書」を踏まえ、新型コロナがいまだ収束しない中、基地内施設への宿泊に努力いただいたものと理解しております。 御指摘の発言につきましては、ワクチン接種の進展や、ウイルスに関する知見の蓄積も進んだことで、新型コロナに対する意識が変化している中、基地の外に宿泊することによる経済効果を期待する声も周辺市町からあったことを踏まえ、今後、議論していくことも必要との観点から、そのような発言を行ったものであります。 私としましては、確認書において、「訓練参加要員の宿泊について、基地内に整備した宿泊施設を使用するよう米軍と調整し、その実現に努める」とされておりますことから、あくまでも、この確認書に基づき、引き続き基地内の宿泊を求めてまいります。以上であります。〔降壇〕 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 〔登壇〕 お答えします。国民健康保険についてであります。 県は、平成30年度に実施された国民健康保険制度改革により、財政運営の責任主体となり、保険税の標準的な算定方法を国保運営方針で定めるなど、国保運営における中心的な役割を果たしております。 保険料率の一律化、すなわち保険税水準の統一につきましては、財政運営を県単位化した意義を高めるため、議論を深めることが重要であると考えているところです。 一方、保険税水準の統一においては、市町村ごとに、医療費水準保健事業の内容、保険税の算定方式が異なるなどの課題があります。 このため、現在、県と市町村担当課等で構成する県市町村国保連携会議において、統一化における課題について議論を行っているところであります。〔降壇〕 ◆(岩切達哉議員) 福祉政策に対して知事から、当事者目線に立った施策を推進するという答弁でございました。 この充実強化については、この県で暮らすことをより幸せに感じることができるという内容になっていくと思います。ぜひ普遍的な福祉施策の向上を求めておきたいと思います。 日米共同訓練に関しましては、県民の安心・安全が担保されるよう、これからも注意して対応いただきたい課題だと認識しているところでございます。ぜひそのような態度でいただきたいなと思います。 国保について、その保険料率は、合意なき統一はないと思いますが、そのような姿勢で臨まれると今、認識させていただきました。 引き続き、国保の実施状況について質問させていただきます。 福祉保健部長に伺います。コロナ禍における保険料の収納率についてであります。 被保険者の中で就労されている皆さんは、自営業の方が多いのですが、経済活動が厳しくなっている中で、納付がより困難になっている傾向は見られないでしょうか。 納付が困難な場合には、短期被保険者証や資格者証となるのですが、それはとてもつらい思いを与えます。そのような状況が増えていませんでしょうか。 さらに、県が保険者となる平成30年度にかけて、差押件数・金額増という資料があるのですけれども、県が保険者となって以降はいかがな状況でしょうか、お聞かせいただきたいと思います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 国民健康保険税の収納率につきましては、令和2年度が前年度を0.37ポイント上回る94.59%、令和3年度は前年度を0.42ポイント上回る95.01%と、コロナ禍前より上昇しております。これは、新型コロナにより収入が減少した世帯を対象とした国保税の減免も影響していると伺っております。 また、収納率の向上により、滞納世帯は年々減少し、直近の令和4年6月1日現在で、短期被保険者証交付世帯数は、前年比392減の6,204世帯、資格証明書交付世帯数は、前年比185減の791世帯と、いずれも減少しております。 差押数及び差押金額につきましては、国保制度改革のあった平成30年度が延べ8,158世帯、約17億7,000万円、それ以降はおおむね減少傾向となり、令和3年度は延べ5,491世帯、約11億6,000万円であります。 ◆(岩切達哉議員) 国民健康保険の加入者を保険証が手元にないという状態にさせたくないなと、常日頃から思っております。ぜひ、そういう思いをする方が減るように御努力いただきたいと思います。 次に、宮崎県の医療費は、その総額は4,100億円余りだと伺いました。このうち国保が負担するのは1,074億円という資料がありました。 県は、レセプトデータ分析によって市町村国保保健事業を支援する業務を実施し、その報告書が令和4年3月に提出されています。 この報告を受け、保険者としての県は、内容をどう理解して、どのような対策を行うこととしたのか、伺いたいと思います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) レセプトデータを用いた国保の医療費分析事業につきましては、疾病ごとの有病率や1人当たりの医療費、高額レセプトの発生状況などを市町村ごとに分析したものです。 この分析を通じ、糖尿病の有病率に地域差があるなど、健康課題は市町村ごとに異なり、それぞれの課題に応じた保健事業を実施することの重要性が明らかになったところであります。 このため県では、県立看護大学の専門家とともに各市町村を訪問し、具体的な課題を基に、保健事業の改善点などについて、グループワークを通じ必要な助言を行っているところであります。 今後とも、こうした取組を充実し、より効果的な保健事業を実施できるよう、市町村を支援してまいります。 ◆(岩切達哉議員) 疾病ごとに有病率が違うなどの把握をされたということであります。効果的な保健事業に充ててほしいと思います。 医療費抑制対策の一つとして、特定健診というのがございます。その健康診断を受診させて早期発見、早期治療を行うことが、結果的には医療費抑制になるということは明らかだと思います。 ところが、特定健診の受診率は、県下で60%の目標に対し2020年度は35.9%と、目標を超える市町村は、26市町村の中で4市町村にとどまると伺っております。 保険者として、医療費抑制対策推進のため、受診率を引き上げる努力が必要ではないかと思います。所見をお聞かせいただきたいと思います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 特定健診の受診率の向上は、本県の健康長寿社会づくりを推進する上で重要な課題であると認識しております。 このため、県におきましては、5月と10月を「健康診査広報月間」に定め、県内全ての医療保険者で構成する保険者協議会と連携し、集中的に広報を行っており、県政番組や広報紙等の活用、テレビCMのほか、今年度から新たにユーチューブ広告により啓発を行っているところであります。 また、市町村におきましては、はがきや電話等による個別の受診勧奨や、夜間・休日健診の実施による受診機会の拡大等により、受診率向上に努めているところであります。 今後とも、市町村をはじめ関係機関と連携して、受診率向上に向けた取組を進めてまいります。 ◆(岩切達哉議員) 健康診断を受けるよう、啓発を強化していただきたいと思います。 国保問題の最後になりますけれども、国は、子供の医療費の窓口負担への助成をしている自治体に対しては、国庫負担金減額措置を行っています。 今、ほとんどの自治体が子供子育て支援のために取り組んでいるところですけれども、国による減額措置はやめるよう、国に対し強く求めるべきではないかと考えます。 この間、国に対してどのような対応を行っているのか、お聞かせいただきたいと思います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 市町村が子供の医療費を助成した場合には、市町村国保に対する国庫負担金減額措置が行われております。 この減額措置につきましては、全国知事会を通じ廃止を要望してきたところでありまして、平成30年度より、未就学児までの措置が廃止されたところであります。 子供の健やかな育ちの観点から、小学生以上の子供についても減額措置を廃止するよう、引き続き全国知事会を通じた要望を行うなど、あらゆる機会を捉え、国へ働きかけてまいりたいと考えております。 ◆(岩切達哉議員) 国民皆保険制度ということで、国民健康保険制度の維持は社会保障上、大事な課題であります。その責任を託された県として、引き続き努力をお願いしたいと思います。 次に、関連しますが、宮崎県の精神医療について伺います。 今年9月に国連の障害者権利委員会が日本政府に、障がい児を分離した特別支援教育の中止を要請したほか、精神科の強制入院を可能にしている法律の廃止を求めました。 内容の詳細は述べませんけれども、例えば、全世界の精神科病床の約2割が日本にあるとか、人口1,000人当たりのベッド数比較で、日本は一貫して世界一であるということであります。日本の精神科医療は、世界の潮流とは異にしていると思います。 そこで伺いますけれども、県内の精神科医療病床数の現状と、この間取り組んでこられた地域移行支援事業の現状を、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 本県の精神病床につきましては、昨年10月1日時点で5,835床あり、ここ数年、ほぼ横ばいで推移しております。 次に、地域移行支援事業につきましては、保健・医療・福祉等の関係機関で構成される協議会を県及び保健所に設置し、地域のネットワークづくりや精神障がい者に対する理解促進に取り組んでいるところであります。 また、地域で暮らす精神障がい者が自らの体験に基づき支援を行うピアサポート活動や、モデル地域において、精神科病院グループホームなどの様々な関係機関が連携した相談対応や住宅確保の調整など、きめ細かな支援を行っているところであります。 このような取組を通じて、昨年6月末時点の入院期間1年以上の患者数は2,969人で、5年前と比較し472人減少しております。 ◆(岩切達哉議員) 長期入院している方が減っているということはありがたいですが、5,000床を超えるベッドがあって、利用されている方がいらっしゃると。100万人の人口の中で多いなと、私は思います。 国連の障害者権利委員会が日本政府に勧告した内容は、長期間または無期限の入院や、精神科を退院した方の行き先が特定のグループホームだったりということをやめるように求めています。 私は、日本の精神科医療のありようは、変化が始まる気がしています。また、そうあらねばならないと思います。 宮崎県はその変化の先駆者となってほしいと期待しているのですが、知事は障害者権利委員会の勧告をどう捉えていらっしゃるか、所見をお聞かせいただきたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) 障害者権利条約は、全ての障がい者に、あらゆる人権と基本的自由を平等に保障することを目的に定められたものでありまして、その目的に沿って障がい者の権利の実現に向けて取り組むことは、大変重要であると考えております。 今回の勧告では、精神科病院に入院している全ての障がい者を対象にその状況を確認し、地域社会において必要な支援を行い、自立した生活を送れるようにすることが強く要請されております。 国においては、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本理念に基づき、様々な施策を実施しているところでありますが、今回の勧告を受けて、より一層の取組が進められるものと考えております。 県としましても、精神障がいのある方が地域で安心して自分らしく生活できるよう、精神障がいに関する理解促進を図るとともに、支援体制の充実等に取り組むことで、障がいのあるなしによって分け隔てられることなく、地域で共に生きる社会の実現に努めてまいります。 ◆(岩切達哉議員) この精神障がい者領域や、他の身体障がいや知的障がいなど、障がい者福祉は大変広範で、かつどれもが重要であります。 県執行部の出先を含めた障がい者福祉推進体制については現状でいいのか、十分検討され、対応されることを期待しておるところでございます。 次に、教育長に伺います。 国連の障害者権利委員会が出した勧告では、特別支援教育の中止、とりわけ分離教育の中止を求め、インクルーシブ教育の推進を強く求めております。 昨日、武田議員も質問されましたが、私は、この勧告に対する教育長の所見を聞かせていただきたいと思います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 誰一人取り残すことなく、誰もがよりよい人生を送るために多様な他者を認め合う、いわゆる共生社会の実現は不可欠であると考えております。 障がいのある子供と障がいのない子供が共に学ぶインクルーシブ教育は、その意味でも大変重要であり、これからの社会を支える教育の仕組みであります。 その推進に当たりましては、全ての子供が生きる力を身につけることが大切でありますので、個別のニーズに応じた指導も肝要であります。 あわせまして、一人一人の学びの場の選択が的確に行われることが重要であるため、市町村教育委員会で行う就学先決定への支援にも力を入れてまいります。 今後も共生社会の実現に向けて、インクルーシブ教育の推進に努めてまいります。
    ◆(岩切達哉議員) いずれの課題も、日本のシステムに対する国連からの意見表明です。その対応については、ぜひ宮崎県が先陣を切って実践されていくことを期待しております。 教育に関連してもう一問。小学校や中学校、高校でも年度の初めに家庭訪問を行っていると認識していますが、その必要性について問い直す声をいただきました。 家庭訪問をする先生方の負担軽減や、短時間の訪問では何も分からないという意見、受け入れる家庭では仕事を休む必要があるなど、いずれの側にも、一斉の家庭訪問についてはやめていいのではという意見があるようです。当然、必要という意見もあると思いますが、この家庭訪問の在り方について、教育長のお考えはいかがでしょうか。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 家庭訪問の目的は、通学路の安全確認をしたり、家庭生活の様子を把握しながら、子供一人一人への理解を深め、日々の指導に生かすことであり、これまで県内多くの学校で実施されてまいりました。 一方、保護者の負担が大きいことや、授業時間の確保などの視点から、例えば、家庭訪問を廃止し学校での面談に変更する、家庭訪問か面談のいずれかを各家庭が選択できるようにする、対象学年を絞って実施するなど、見直しも進んできております。 今後も、家庭訪問の在り方につきましては、子供を取り巻く環境の変化を踏まえつつ、各学校の実態や保護者の実情に応じた様々な工夫・改善を図っていくことが大切であると考えております。 ◆(岩切達哉議員) 実情に応じるという教育長の姿勢は、現場からも歓迎されると思います。ぜひよろしくお願いします。 次に、河川にあります樋門の自動化について、県土整備部長に伺います。 台風第14号の大雨で、家屋に床上、床下浸水の被害が出た西都市で、水路などから一ツ瀬川へ排水するために開けていた樋門から水が逆流し、周辺の地域に流れ込んだ可能性があるとのことでした。 西都市消防本部によりますと、大雨でダムの放流量も増え、急激に一ツ瀬川の水位が上昇したことや、暴風で樋門を閉じる操作ができなかったことが要因と、記事にありました。 手動の場合、誰が開け閉めを行うのか、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 樋門の開閉操作につきましては、基本的には、樋門が設置されている市町村に操作の委託を行い、その操作は市町村の職員や消防団員などが行っております。 ◆(岩切達哉議員) 操作は自治体職員や消防団員ということでございますけれども、その樋門を閉める判断は誰がいつ行うのか、お聞かせください。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 樋門のゲートを閉じる閉門につきましては、県の操作要領に基づき、操作員が現地において本川から支川へ逆流が始まったことなどを確認し、その判断を行っております。 ◆(岩切達哉議員) 操作員が現地で目視してということであります。夜間や暴風の中では困難かつ危険だと思います。 私は、このような危険な作業から人間を解放するのが、デジタル化とか合理化ということだと思っています。デジタル化、いわゆる樋門の開閉についての自動化の見通しはいかがでしょうか。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 県が管理する樋門では、東日本大震災を踏まえ、津波が河川を遡る区間において、本川の水圧により自動的に閉鎖するゲート、いわゆるフラップゲートによる自動閉鎖化を優先的に進めているところであります。 今回の台風第14号においては、風や雨が強く、一部で現地周辺が冠水し、大変厳しい操作環境であったものと考えており、現在、関係自治体や操作員との意見交換を行っているところであります。 今後は、そこで出された御意見も踏まえ、十分な検証を行い、操作環境の改善に努めるとともに、津波遡上区間以外につきましても、フラップゲート等による自動閉鎖化を検討してまいります。 また、樋門操作のデジタル化、遠隔化につきましては、不測の事態のバックアップ体制など運用上の課題もありますことから、今回の台風第14号を踏まえ、国の動向も注視してまいります。 ◆(岩切達哉議員) 操作をされる方の安全は極めて大事なポイントだと思いますので、ぜひ研究を進めていただきたいと思います。 次に、国と地方との関係についてお尋ねします。 政府の2022年度骨太方針で、自治体への新たな計画策定の義務づけ・枠づけは最小限にすると示されました。これは、法令で計画等の策定を義務づけるものが増えておりまして、負担感が増しているという自治体側からの、地方からの削減要求が受け入れられたものと理解しています。 確認させていただきたいのですが、現在、策定義務や努力規定など、法により策定を求めている法令は幾つあるのでしょうか。これは過去からどの程度、増加しているのでしょうか、総合政策部長にお聞きします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) 県では、様々な分野におきまして、取組の指針となる計画を策定しておりますけれども、内閣府の調査によりますと、国が都道府県に対して計画策定を求める根拠となっている法令等の条項の数は、令和2年12月末時点で、策定を義務づけるものが157、策定するよう努めなければならない、いわゆる「努力義務」が61、策定することができる、いわゆる「できる規定」が143、合計で361となっております。 この数を10年前の平成22年と比較しますと、全体で95増加しておりまして、法令等によって都道府県に計画の策定を求めるケースは増加傾向にあります。 ◆(岩切達哉議員) できる規定をやらないとしても、200を超える計画をつくらないといけないというような認識だと思います。大変増えてきているという実感なんですけれども、全国知事会は、骨太方針に対して、計画策定の義務づけ見直しを高く評価している一方で、計画を作ることで財政措置を行っている政策に関して必要な財源保障を行うことと、今後は、計画等の策定を求める法令の規定や通知は原則として新設しないことを求めたとのことであります。 知事に伺いますが、宮崎県知事として、この骨太方針や知事会の評価についてどのように受け止めていらっしゃるか、お考えをお聞かせください。 ◎知事(河野俊嗣君) 本来、県における計画策定は、地域の課題や実情を踏まえて主体的に行うものでありますが、現実には、国庫補助金等の交付要件として計画策定が求められるなど、実質的な義務化により国が関与し、その対応に多大な労力を要するといった課題があります。 私は全国知事会の地方税財政常任委員長として、補助金など地方の財源を求めていく立場でありますが、補助金がどんどん認められたとしても、その一方で、こういった計画が義務づけされているというような実態が進むと、現場の担当者に強い負荷を与えるものであって、それは大いに問題であると考えております。 このような認識の下、全国知事会として、国に対し計画策定等の見直しに向けた提言を行うとともに、国の有識者会議におきましても、見直しに向けた検討が行われ、議員御指摘のとおり、今年の骨太の方針において、計画策定等の見直しが掲げられたところであります。 このことは、地方の自主性・自立性を確保するものであると、私としても評価しているところであります。 今後は、この方針の実効性を担保するため、計画策定を要件として財政措置が行われている各政策に関しては、国が必要な財源保障を行うことなどについても、引き続き全国知事会と歩調を合わせて求めてまいります。 ◆(岩切達哉議員) 計画策定は大変なんです。でも、作らないとお金が渡らないというか、もらえないと。そんな矛盾の中で大変御苦労なさっていると思いますけれども、ぜひ地方の立場でしっかり意見を表明されて、見直しをさらに進められるようにお願いしたいと思います。 次の質問であります。電気料の高騰に伴って、今議会に相当額の補正予算が提案されています。このような理由での補正というのは珍しいことではないでしょうか。それほど急激な引上げであります。 電力会社は、原油値上がりや円安などの影響を、消費する側に価格転嫁できるようであります。今、県民は、家庭では節電をして支払額を抑えようとしています。宮崎県庁関連の全体の電気使用量を抑えるための方策はありませんでしょうか。 暗い廊下があったり、昼休みには消灯していたりと努力している様子は承知しております。それよりは、節電のための投資として、太陽光発電装置を庁舎に設置したり、蓄電など、初期投資は必要になるのですが、数年たてば得をするという方法で節電を検討できないか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 県では、昨年度改定した「宮崎県公共施設等総合管理計画」において、施設の更新や修繕等に合わせた省エネ化等に努めることとしております。 本庁舎や総合庁舎等につきましては、これまでに照明のLED化や空調設備の省エネタイプへの改修を行い、令和2年度に完成した防災庁舎につきましては、照明の全館LED化のほか、高断熱サッシの採用や太陽光発電設備の設置を行ったところです。 さらに現在、環境省の補助事業を活用した「県有施設ゼロカーボン化推進モデル事業」としまして、7号館及び延岡総合庁舎において、太陽光発電設備の設置による再生可能エネルギー導入とLED照明への更新による省エネを組み合わせ、電気使用量を削減する取組を進めております。 今後とも、高い節電効果が見込める取組を、関係部局と連携を図りながら進めてまいります。 ◆(岩切達哉議員) では引き続き、総務部長に質問させていただきます。 職員採用に係る国籍条項について、宮崎県の判断を伺いたいと思います。 税の賦課・徴収部門に配属しないことや、管理職登用に制限があることを前提に、職員として採用する府県が9つに達したということを聞きました。 企画調整や観光振興に積極的に配置するというのですけれども、宮崎県ではそのような職員採用はいかがな状況でしょうか。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 地方公務員につきましては、これまで国の見解や判例により、外国籍を有する者は公権力の行使や公の意思の形成への参画ができないこととされており、例えば、税の賦課・徴収や行政の多くの分野における監視・立入調査、許認可業務などに従事できず、また所属長など管理職への登用が制限されることになります。 このため、職員の国籍条項につきましては、本県におきましては職務の性質上、公権力の行使や公の意思の形成への参画には関与しないと思われる、一部の医療関係職種等に限り撤廃しておりますが、その他の職種に関しましては、慎重に検討する必要があると考えております。 ◆(岩切達哉議員) 同じ法律の下で、できるとした府県さらに市町村、政令市があるわけでありまして、ぜひ研究を進めてください。 次に、今年、人事院勧告では、職員給与の在り方について、「定年延長を踏まえた制度の見直しが必要」と報告しております。 この内容が意味するところ、地域間の格差が拡大するように私は感じております。都市部と違って地方は賃金が安いということで、地域手当偏重の賃金になるとすれば、今低位にある宮崎県をはじめとする地方においては、必要な人材確保に支障が出るものと考えます。総務部長の所見はいかがでしょうか。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 今年度の人事院の「職員の給与に関する報告」において、社会と公務の変化等に伴う諸課題に対応できるよう、現行の給与制度についてアップデートを図っていく必要性が報告されており、令和6年に必要な給与制度上の施策を講ずることを目指すとされております。 また、本県の人事委員会においても、今後、国の検討状況や他の地方公共団体の動向を注視していく必要があるとの報告がなされております。 現時点で、これらの見直し内容等は不明でありますが、今後とも、県職員として働く魅力のPRといった受験者を確保する取組や弾力的な採用を行うなど、人材確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(岩切達哉議員) アップデートというか、見直しがあるたびに、おおよそにおいて地方は都市との格差を広げられているというのがこれまでの状況でありますので、地方の立場でぜひ発信をしていただきたい、そのように思います。 次に、会計年度任用職員の任用のルールについて伺いたいと思います。 会計年度任用職員が県に勤務できるのは、最長3年とかの制限があるのでしょうか。仕事に慣れた方に辞めてもらうとすれば、それは利益にならないと思います。どのような制度か、お聞かせいただきたいと思います。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 会計年度任用の職につきましては、地方公務員法により、一会計年度を超えない範囲内で、毎年度、その必要性を吟味し、新たな職として設置することとなっております。 また、採用者の決定に際しましては、原則として、毎年度、公募を行い、客観的な能力実証を行うこととされております。 県におきましては、これらの考え方を踏まえつつ、現在任用されている職員の勤務実績が一定水準以上で、翌年度も同一の職務内容の職への任用を希望する場合には、人材の確保、雇用の安定等の観点から、公募を経ずに、当年度の能力実証により、連続2回まで再度の任用ができることとしております。 公募を経て、客観的な能力実証が行われるのであれば、任用回数に制限はありません。 ◆(岩切達哉議員) 制度ということでありますので、ここでは議論できませんけれども、ぜひ雇用の安心というものを働く側に提供いただきたい。切にお願いしたいと思います。 では、避難訓練について危機管理統括監に伺いたいと思います。 避難ビルを実際に利用して避難訓練をするということについての御質問であります。 避難タワーではない、一般にマンションとかが指定されている避難ビルについて、訓練として利用することははばかられる、やりづらいという声を聞きました。 人様が居住されているので、配慮は必要だと思います。いざというときだけ利用してほしいと言われれば、そのとおりではありましょうけれども、日頃から訓練をしっかりしておくことは、防災上必要と思います。 避難ビルを利用した訓練の実態について、危機管理統括監に伺います。 ◎危機管理統括監(横山直樹君) 津波による浸水が想定される沿岸市町では、行政や自治会、学校、事業所等による地域の実情に応じた様々な避難訓練が行われておりますが、マンションやアパートなどの避難ビルへの避難訓練は、建物の所有者や居住者の理解と協力が必要となることから、積極的に行われていない状況でございます。 県では、今月6日に南海トラフ巨大地震の発生を想定して日南市や串間市で行いました県総合防災訓練において、住民が参加する避難訓練を実施したところでございますが、今後とも、多くの住民を巻き込んだ実効性のある避難訓練が各地域で実施されるよう、沿岸市町と連携してまいります。 ◆(岩切達哉議員) やってみないと分からない話というのが、訓練に期待されるところだと思いますので、ぜひ関係市町と十分議論してほしいと思います。 では次に、スケアードストレイトの活用について、警察本部長に伺いたいと思います。 交通安全教室の手法として、スケアードストレイト方式というのがあるということですけれども、その手法の説明と導入状況、県内で適切な業者選定ができているのか、お聞かせください。 ◎警察本部長(山本将之君) スケアードストレイトとは「恐怖の直視」という意味で、スタントパーソンが自転車と自動車の事故、あるいは自転車と歩行者の事故を再現して、その衝撃や音を実際に感じていただき、事故の恐ろしさを実感することを通じて、交通安全に対する意識を向上させる教育技法でございまして、こちらは、JA共済連全国本部と警察庁が連携いたしまして、JA共済連全国本部が契約したスタント会社が、全国で自転車交通安全教室を実施しております。 なお、本県では平成22年以降、中学校及び高等学校で45回実施しております。 ◆(岩切達哉議員) スタントパーソン―スタントマンと、私が幼い頃は習いましたけれども―が実際に車にぶつかって転げ回る、そんなニュースを見たことがあります。 このスケアードストレイト方式の安全教室、実際にはねられたり、自転車ごと巻き込まれる様子もあるようですけれども、これを録画した上で広く市民に広報できないものなのか、お尋ねします。 ◎警察本部長(山本将之君) スケアードストレイト方式の交通安全教室の動画による広報につきましては、これまでに県内で実施した実際のスケアードストレイトの交通安全教室を警察本部において撮影し、宮崎県警察交通部のツイッターで動画を配信しておりますが、今後、他の広報手段についても検討してまいりたいと思っております。 ◆(岩切達哉議員) 交通安全確保というのは、本当に時間のかかる、そして地道な作業ですけれども、ルールを守るしかないということで、恐怖を直視するという手法による広報をお願いしたいと思います。 次に、県庁ライトアップについて伺いたいと思います。 県庁本館は、今年90年目となる貴重な登録有形文化財と聞いております。県庁周辺では、楠並木と曳家で移動させた5号館も歴史を感じる文化財です。 このかいわいが観光地になっているのですが、夕方になりますと、県庁本館が様々な色にライトアップされることがあります。そのライトアップされたカラーが何を意味するのか、県庁ホームページを訪ねても、趣旨が簡単には分からないという状況にあります。 冒頭の質問でも触れましたけれども、様々なシンボルカラーの意味が分かるようにできないのかという質問であります。 例えば、県庁周辺にQRコードを掲示して、解説するホームページに誘導するとか、デジタル時代に見合う対策をしてはいかがでしょうか。総務部長の答弁を求めます。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 県庁本館のライトアップにつきましては、本県を代表する建物に、LEDライトによる多彩な色を投影できることから、県が取り組む啓発活動のイメージカラーを発信する手段として幅広く活用しております。 ライトアップで映し出される色の趣旨を、各世代の方々に丁寧に説明することは、県の施策推進につながると考えておりますので、ライトアップ情報の庁舎掲示板への掲示や、QRコードを使った県ホームページ等への誘導など、簡単で分かりやすくお伝えできる取組を具体的に進めてまいります。 ◆(岩切達哉議員) よろしくお願いします。 次に、有害鳥獣駆除の関係でございます。 有害鳥獣駆除をするために、狩猟免許が必要になります。最初に、狩猟免許の所持者の動向について、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 令和3年度末の狩猟免許の所持者数は延べ5,236人で、10年前と比べ、わな猟等の免許所持者が578人増加したのに対し、銃猟免許所持者数は1,851人減少し、全体では1,273人少なくなっており、狩猟者の減少傾向が続いております。 ◆(岩切達哉議員) わなを使われる方は増えましたが、銃を使って狩猟を行う方は減ったということでございます。 銃を使用した狩猟に必要な猟銃の所持は、銃刀法に基づく銃砲所持許可が必要で、その所持許可には実技講習が必要であると聞いております。 その実技講習を行う射撃場について、特にライフル銃については、実技講習の場として指定されている、いわゆる教習射撃場が宮崎県内にはないと伺っております。 実技講習の実態や射撃場の状況について、警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(山本将之君) 猟銃の所持許可の3年ごとの更新時には、銃砲刀剣類所持等取締法に基づき、猟銃の基本的な操作と射撃技能に関する技能講習を、指定された射撃場で受講することとされております。 県内には、技能講習を行う射撃場が3か所ありますが、猟銃のうち、ライフル銃に関しましては指定を受けておりませんので、ライフル銃の更新に際しましては、福岡県または大分県の射撃場で技能講習を受講していただいております。 なお、技能講習につきましては、射撃指導員等に加え、「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」に基づきまして、特定鳥獣被害対策実施隊員や、被害防止計画に基づく対象鳥獣の捕獲等に従事している方につきましては、この受講が免除されており、過去3年間、本県では更新申請者全体の約8割の方が免除されております。 ◆(岩切達哉議員) 限られたライフル銃所有者、ライフル銃によって狩猟を行う方の課題だとは認識しているんですけれども、県内にはライフルの技能講習が受けられる場所がないということで、福岡や大分のほうに行っていただいているということでございました。この課題はまた今後伺いたいと思います。 最後に、散弾銃の技能講習については県内で受けられるわけでありますけれども、このような状況で猟銃の所持許可更新がなされるわけですけれども、有害鳥獣捕獲には、狩猟免許を持つ方の確保がこれからも必要と思います。 これからの確保対策について、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 有害鳥獣による農林作物等の被害を防止するため、捕獲を担う狩猟者の確保は大変重要であります。 このため県では、猟友会や市町村と連携し、狩猟免許取得希望者向けの講習会の開催や試験会場の増設、銃砲所持許可申請手数料などの一部助成を行うとともに、林業大学校の長期課程のカリキュラムに、わな免許の取得を組み込むなどの取組を行っております。 また、有害鳥獣捕獲に従事する狩猟者に対して、銃の散弾など捕獲活動に要する費用の助成や、狩猟税の減免措置により、負担軽減を図っているところであります。 今後はさらに、県民の狩猟への関心を高めるためのPRの工夫を行うなど、市町村及び関係団体と連携を図りながら、有害鳥獣捕獲を担う狩猟者の確保に取り組んでまいります。 ◆(岩切達哉議員) 狩猟を担う方の確保をしっかり行っていただいて、農産物を守ったり生活の安全を守るという場面で活躍していただけるように、その確保と、そして射撃場の実態についても、それぞれの立場で注目していただきたいと思います。 予定より随分時間が余ってしまいましたけれども、これで終了させていただきます。御答弁ありがとうございました。(拍手) ○議長(中野一則) 次は、前屋敷恵美議員。 ◆(前屋敷恵美議員) 〔登壇〕(拍手) 日本共産党の前屋敷恵美でございます。通告に従い、一般質問を行います。 知事の政治姿勢から伺ってまいります。 安保法制、日米共同訓練から見る日本の政治のありようについてです。 集団的自衛権の行使容認が閣議決定され、憲法違反の安保法制(戦争法)が強行されて7年、自衛隊の海外での武力行使に道を開く、この安保法制の下で、日本は確実に「戦争する国」へと向かっております。それは、宮崎でも毎年繰り広げられる日米共同訓練からも見てとれます。 とりわけ今年は、8月に、えびのの霧島演習場での日米共同訓練、11月に新田原基地を使っての日米共同訓練、終わると翌日から、日向灘での日米機雷掃海訓練、近年では、海上自衛隊の訓練場でもない日向のお倉ヶ浜海岸で「LCAC(エルキャック)ビーチング訓練」と称する訓練が、今年は10月に行われています。まさに宮崎県は、陸・海・空の全てで軍事訓練を許す異例な県となっています。県民は常に、事件や事故と背中合わせの生活を余儀なくされているといっても過言ではないと思います。 とりわけ今回の日米共同訓練は大規模化し、イギリスやフランス、オーストラリア、カナダ、インド、韓国など多数が参加いたしました。さらにNATOも含む実に多国籍型の統合演習で、そこに九州全域の自衛隊基地などが組み込まれ、大規模な訓練となりました。 我が党は、こうした訓練の中止を強く求めてまいりました。今、ロシアのウクライナ侵略で国際的に軍事的緊張が高まる中、こうした一連の軍事演習は、東アジアの緊張も一層高めることにつながりかねないのではないでしょうか。 政府の有識者会議は報告書で、敵基地攻撃能力の保有や軍事費を5年間で倍増、GDP比2%の大軍拡計画を示して、「財源は国民全体での負担が必要」としています。 岸田首相は一昨日、財務大臣と防衛大臣に、この軍拡予算措置を講じることを指示いたしました。この財源は消費税のさらなる増税か、また社会保障費の削減か、国民の暮らしはどうなることでしょうか。 戦争は二度としないと誓った憲法9条を持つ国で、こうした政治のありようが果たして許されるのか、まず知事の御見解を伺いたいと思います。 壇上からは以上で、あとは質問者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 政府においては、現在、国の安全保障政策に関する国家安全保障戦略等の、いわゆる防衛3文書を年末までに改める方針とされております。 また、政府の有識者会議が、反撃能力の保有や防衛費増額の税負担を提起するなどの動きがありますが、その背景には、北朝鮮による弾道ミサイル発射やロシアのウクライナ侵攻、中国の軍事力の拡大など、急激に厳しさを増す我が国の安全保障環境があるものと認識しております。 私としましては、我が国の平和と安全を守るためには、まずは国際社会の平和と協調のための不断の外交努力が重要であると考えております。その思いで私も外交官を志しておったところでありますが、学生時代の同級生が今、外務省に幹部としております。ぜひ頑張ってほしいということを常々願っておるところであります。 同時に、国として万一の時代に対応するため、諸外国との協力関係をしっかりと深めていくことも極めて重要であると認識しております。 安全保障問題への対応を含め、外交、防衛に関することは、国の根幹や、将来、国民の暮らしに関わる重要な問題でありますので、今後、国において慎重かつ十分に議論を行うとともに、国民に対する丁寧な説明が必要と考えております。以上であります。〔降壇〕 ◆(前屋敷恵美議員) 不断の外交努力が必要だと言われましたけど、まさにそれはそのとおりだと思います。 しかし、防衛が必要だと軍備を増やすことは、軍事対軍事の悪循環を招き、戦争につながる一番危険な道だと思います。日本の果たすべき役割は、憲法9条を生かした平和外交、これが不断の努力で行われなければならないと思います。そして、徹底した話合いの積み重ねで、戦争にさせない道を開くことです。軍備増強では問題は解決しないと思います。国民の暮らしを犠牲にした軍拡は、かつての戦争への道そのものです。 政府の行為によって、再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意したはずの日本が、今、政府の行為によって再び戦争への道を歩むことは、絶対に許されるものではありません。私はそのように思います。 知事も立憲主義の下に、政府の憲法を逸脱する行為、戦争への道には、何よりも県民の生命・財産・安全を守る立場から、毅然とした態度で臨むべきではないかと思います。重ねてここを強調しておきたいと思います。 では、続いて質問いたします。次に、統一協会問題について伺います。 9月定例会においても、この問題は来住議員が取り上げました。 今や、信者家族との関係でも高額な寄附行為をめぐって家族崩壊を引き起こし、その被害者救済のための新法制定が不可欠になるなど、統一協会が反社会的な集団であることが、より明白になっております。 そこで改めて、知事の統一協会に対する認識を伺いたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) 旧統一教会につきましては、教団の名前を出さない形での勧誘や、不安をあおっての霊感商法、多額献金の強要など、そのトラブルが社会問題化している団体であると認識しております。 ◆(前屋敷恵美議員) 「世界平和統一家庭連合」と不当に名称変更した統一協会が、関連団体とともに、国会議員はもとより地方自治体や地方議会、議員にも働きかけを行い、政界との関係を密にしてきたことも明らかになっております。 いま一度、知事へ、同団体のイベントや後援会などへの出席、またメッセージの要請といったものはなかったのか、またその対応はどうだったのか、改めて伺いたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) 旧統一教会と私の関わりは、メッセージ等の提供も含めて一切ございません。 ◆(前屋敷恵美議員) では引き続いて、商工観光労働部が所管して、「ピースロード2022in宮崎」に宮崎県が後援団体として名を連ねたことに関して、当時、団体の性格は分からなかった、後援する会の基準に合致していたなどという理由で、後援は取り消さないとの態度を変えてはおられませんが、果たしてそれでよいのかということです。 反社会的な団体ということが明らかになった以上、過去に遡って後援を取り消すことこそ、県の取るべき姿勢ではないでしょうか。知事の見解を求めたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) 本県の後援名義につきましては、県の基本方針に合致し、福祉・文化の向上や地域振興等に寄与する行事に対し、主催者の申請に基づき承認を行っているものであります。 御指摘の「ピースロード2022in宮崎」につきましては、旧統一教会と接点のある団体が共催しておりましたが、主催者やイベントの趣旨・目的のほか、事業内容が宗教的、政治的なものではないことなど承認基準を満たしていたことから、後援名義の使用を承認したものであり、取消しは考えておりません。 一方で、今回のような社会的に問題が指摘されている団体への対応については、県民に疑念や不信を抱かれることのないよう、十分留意する必要があることから、共催者につきまして、主催者と同様の承認条件を設けるなどの承認基準の見直しを行ったところでありまして、今後は、より厳正な審査に努めてまいります。 ◆(前屋敷恵美議員) 私は非常に残念に思います。もう既に県民は疑問や疑念を抱いているからこそ、私はその取消しが必要だと申し上げているところです。県が当時、団体の性格が分からなかったとすることを責めるものではありません。 しかし、後援に値しない団体と分かった以上、その当時、条件には合致していた、怪しい団体ではなかった、問題あるイベントではなかったと、このように判断されたということなんですけれども、統一協会が関わっていたという事実は明らかなわけですから、真摯に対応して後援を取り消すことこそ、県としての真っ当な対処であり責任の果たし方だと思います。そうでないと、問題が少しでもある団体に、またそのイベントに、県がお墨つきを与えたことになります。今後に汚点を残すことになると思います。他県でも取消しを行っているではありませんか。ぜひ再考いただくことを強く求めておきたい、このように思います。 次に、日本一の子育て・子育ち立県について、知事に伺います。 知事は就任当時から、日本一の子育て・子育ち立県を標榜してこられました。それは、子育て・子育ちのためによい環境を整える子育て支援を前提にしてのことと、私は理解をしております。3点について伺いたいと思います。 まず、子供の医療費助成についてです。 私は、子供の医療費助成は子育て支援の要だと思っております。何より、子供の命と健康を守り、健やかに育てることが、子育ての基本と思うからです。 現在、県の医療費助成は、一部負担もありますが、就学前まで窓口無料が実施されております。同時に、県内全ての自治体は、住民の強い要望を受けて独自の助成を行い、高校生まで無料という自治体もあり、それぞれ努力がなされております。現在の状況を福祉保健部長にお伺いしたいと思います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 子供の医療費助成につきましては、県において、小学校就学前までの子供を対象とした、市町村に対する助成事業を実施しており、これに加えまして、各市町村においては独自の上乗せ助成が行われております。 対象年齢で申し上げますと、宮崎市ほか21市町村におきましては、中学生までを対象に、残る新富町、西米良村、木城町、川南町の4町村におきましては、18歳となる年度までを対象に助成を実施しております。 ◆(前屋敷恵美議員) 全国的にも子供の医療費助成は大幅に進んでおります。ところが、国は、小学生以上の医療費を助成した自治体の国保に対して、国庫負担について減額のペナルティーを課しています。先ほど岩切議員も取り上げられましたけれども、本来ならば、国が主体的に医療費助成を進めなければならないものですが、自治体がその肩代わりをしているわけです。その自治体の努力に水を差すもので、本末転倒だと言わなければならないと思います。このペナルティー廃止を強く国にも求めていくことを、岩切議員と併せて要望したいと思います。これは福祉保健部長、もう一度お答えください。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 国民健康保険における子供の医療費助成に対する国庫負担金減額措置につきましては、全国知事会を通じて廃止を要望してきたところでありまして、平成30年度より、未就学児までの減額措置が廃止されております。 子供の医療費負担の軽減を図ることは、健やかな育ちの観点から大変重要でありますので、小学生以上の子供についても減額措置を廃止するよう、引き続き全国知事会を通じた要望を行うなど、あらゆる機会を捉え、国に働きかけてまいりたいと考えております。 ◆(前屋敷恵美議員) 知事に伺いたいと思います。知事の就任以来、子供の医療費助成は全く進んでおりません。前任の知事が、3歳未満だった医療費助成を就学前までに引き上げて以来12年間、据え置かれたままであります。 全ての自治体が子育て世帯に寄り添って支援しているわけですから、県もそれ相当の応分の負担で支援することが求められている、また必要だと思いますが、知事の御見解を伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 子供の医療費に対する助成は、その健やかな成長と子育て家庭の経済的負担の軽減を図る上で、大変重要な子育て支援策だと認識しております。 このため県では、市町村と連携して、これまでも取り組んできたところでありますが、本来この制度は、国の責任において全国統一的に行われるべきものと考えておりまして、全国知事会を通じて要望を行っているほか、本県単独でも、「みやざきの提案・要望」の中で、地方の実態を踏まえた制度設計や必要な財源の確保について、強く要望を続けているところであります。 先日もそのような思いの下で、来県された、ある厚労省OBと意見交換を行ったところでありますが、この医療費負担がどんどん軽減される、それは結構なことでありますが、一方で、それが過度に進むと、気軽に受診して、言わばコンビニ受診のような形になり、医療費の増額であったり医療現場の負荷につながってしまうのではないかということで、そのバランスをどう取るかというような論点もあるという御指摘もいただいたところであります。 来年4月にはこども家庭庁が設置され、子供・子育て支援の充実がさらに加速化されるものと考えておりますので、引き続き様々な機会を通じまして、この全国統一的な制度設計に向けて、国に対して働きかけを行ってまいります。 ◆(前屋敷恵美議員) 病気になったからこそ子供をすぐにでも病院に連れていきたい、これは親の思いそのものです。病気でもない子供を、コンビニ受診とかいって病院に連れていく親はおりません。その辺の認識は、ぜひ改めていただきたいと思います。 既に都道府県段階では、18歳までの助成制度は鳥取、福島、静岡、鹿児島。東京は来年4月から実施となります。また、先日は長崎県の大石知事が、先週始まった県議会で、18歳までの子供が安心して医療を受けられるよう、来年度、県独自の医療費助成制度の創設を発表されました。私は英断だと思います。 親にとって、子供の病気ほど心配なことはありません。「手持ちのお金がなくて病院に行けなかった」という、胸の痛む声を度々聞きます。病気になっても、お金の心配なしにすぐ病院に連れていける。これほど子育てで安心なことはありません。そして、重症化を防ぐことにもなるわけです。 県内どこで暮らしても安心して子育てができる宮崎にしていこうではありませんか。知事の御決断をぜひ見せていただきたい。いま一度、知事の考えを述べていただきたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) あくまでも大変重要な子育て支援策と認識しておる中で、全国ほとんどの市町村が、中学生までを対象とした医療費助成を行っているという状況、これはもともと地方単独事業ということで、自主的な取組としてスタートしたものでありますが、その実態を踏まえると、やはりこの制度は、本来、国の責任において全国統一的に行われるべきものと、その財政力に応じて違いが生じるといったようなことがないような制度であるべきだと考えております。 引き続きあらゆる機会を捉え、国に対して働きかけを行いますとともに、様々な子育て支援策等を通じて、子育てを楽しいと感じられる宮崎づくりに取り組んでまいります。 ◆(前屋敷恵美議員) 本来やらなければならない国がやらないから、地方自治体がその肩代わりをしているわけです。ですから、国がやらないからといって、そのまま座して待つわけにはいきません。各自治体の努力に、県も応えるべきだと私は思います。よろしくお願いしたいと思います。 続いて、学校給食費の無償化について教育長に伺います。 県内小中学校の給食費について、現在、無償化または何らかの補助が行われている状況について伺いたいと思います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 今年4月に、国の地方創生臨時交付金に、コロナ禍における原油価格・物価高騰対策分が創設され、給食費への補助も対象となりました。 5月に県教育委員会が小中学校を対象に実施した調査では、26市町村中、21市町村が臨時交付金の活用について検討している状況でありました。また、市町村独自の財源で給食費の補助を行っているのは12市町村で、そのうち実質無償化となる全額補助は6町村でありました。 その後、10月に再度調査を実施しましたところ、この臨時交付金を活用しているのは21市町村でありました。また、給食費の補助を行っているのは24市町村で、そのうち全額補助は7町村でありました。 ◆(前屋敷恵美議員) 「義務教育は無償とする」とした憲法第26条に則して、また、「学校給食は食育である」とした学校給食法に照らしても、本来、学校給食は国の責任で恒久的に無償とするべきものですが、それを求めつつも、現在、給食費助成を行っている市町村を支えて、県の支援で、全ての学校での無償化を図ることが重要と思いますが、教育長の見解を伺いたいと思います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 給食費につきましては、学校給食法を基に、保護者が負担することが基本となっております。 市町村立の小中学校における給食費の無償化につきましては、学校給食の実施主体であります市町村において、学校や地域の実情を踏まえた上で、これまで検討がなされてきたものと考えております。 なお、県教育委員会におきましては、市町村担当者会を開催し、国の臨時交付金に関する給食費の補助について的確な情報提供を行い、学校給食における保護者負担軽減が効果的に行われるよう支援させていただいたところであります。 ◆(前屋敷恵美議員) 先ほど教育長も述べられましたけれども、文科省が食材費高騰抑制のために臨時交付金の活用を促してといいますか、通知をされております。 こうした財源も使って給食費の値上げを抑えている、こういう自治体が今、大変増えていることは喜ばしいことだと思います。 子育て支援の観点からも、父母負担の軽減につながる、こうした給食費の値上げを抑えるとか、そして何よりも給食費の無償化そのものを実現すべきだと思うところです。 ちなみに千葉県は、来年1月から、小中学校や県立学校に通う第3子以降の児童生徒の給食費の無償化を打ち出しました。また、政令市には県が4分の1、ほかの市町村には2分の1を県が負担、県立の中学校や特別支援学校は、県が全て負担をする。このような発表をなされて、大いに子育て支援、父母の負担を軽くしていこうという方向性が示されました。 こうした県の努力も、全国的にも始まっております。ぜひ宮崎でもこうした方向を早く検討していくことが必要であると思いますので、ぜひこのことも強く求めておきたいと思います。 3点目は、国保の子供の均等割の減免・廃止についてです。 今年4月から、国保の未就学児の均等割が半額に軽減されました。 現在、子供の均等割軽減について、自治体で独自に対象を拡大している自治体があればお聞かせいただきたいと思います。福祉保健部長、お願いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 国保税の均等割につきましては、令和4年4月から全国一律の制度として、未就学児の国保税均等割額の5割が軽減されているところであります。 今年8月の国の調査によりますと、県内では、高原町と新富町の2つの町が独自の軽減を行っております。そのうち高原町では、未就学児の法定軽減分以外の残り5割を独自に軽減しております。また、新富町では、未就学児の法定軽減分以外と、小中学生に係る均等割の5割を軽減しております。 ◆(前屋敷恵美議員) 今お伺いしたように、子供の均等割の軽減を拡大して、子育て支援を始めた自治体も出てまいりました。私は、こうした自治体に対して県も応分の支援をして、この均等割の軽減をもっと安定的なものにする必要があると思いますが、福祉保健部長の見解を伺いたいと思います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 全国一律の制度として、市町村が未就学児を対象に実施する国保税均等割の軽減措置につきましては、既に今年度から県においても、軽減に要する費用の4分の1を負担しているところであります。 一方、市町村が独自に対象年齢や軽減額の拡大を行う場合には、一般会計からの繰入れによる財源確保について、受益と負担のバランスの観点からの検討が必要になります。 また、平成30年度の国保制度改革以降、県が財政運営の責任主体とされ、国保財政の安定的な運営が求められております。 県独自の市町村への支援につきましては、国の地方財政措置の対象とされず、県はもとより市町村の負担も伴うため、慎重な検討が必要と考えております。 ◆(前屋敷恵美議員) 県の財政負担がかかってくるわけですから、慎重な対応が必要ということは十分理解できますが、やはり将来の社会を担う子供たちをしっかり安心して育てていくためには、十分な補償もしていく必要があると思います。 この子供の均等割は、子供の多い世帯ほど負担が増える、子育て支援に逆行する税金です。子供の国保税均等割はなくすように、国に要望することが必要だと思いますが、福祉保健部長の見解を伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 子供の健やかな育ちの観点から、子育て世帯の負担軽減を図ることは重要でありますので、今年4月から開始された全国一律の軽減制度をより充実し、さらなる負担軽減を図るよう、全国知事会を通じ、国に要望しているところであります。 引き続き、国に対して、対象年齢の拡大等の制度の充実を働きかけてまいりたいと考えております。 ◆(前屋敷恵美議員) 子育てしやすい環境を整えること、これは行政の役割です。子育て世帯に寄り添った親身で積極的な対応を行ってこそ、私は「子育て立県」に値するのではないかと思います。 私は今日、3点にわたって県の姿勢をただしてまいりましたけれども、ぜひ子供たちに寄り添う、子育てに寄り添う、そういう県の御努力を強く求めておきたいと思います。よろしくお願いします。 では次に参ります。台風第14号における被害対策についてです。 今回の台風第14号は、県内各地に甚大な被害をもたらしました。私も幾つか現地に入って、その被害の大きさに本当に胸の痛む思いでした。一日も早い復旧、対策、被害に遭われた方々の生活再建支援が求められます。 まず、災害救助法の適用について伺いたいと思います。今回の台風第14号被害で、延岡市の被害同様、都城市の下川東の浸水被害は甚大なものでした。延岡市は災害救助法も被災者生活再建支援法も適用になりましたが、都城市は適用にはなりませんでした。被災現地は内水氾濫で、身の丈ほどの浸水で避難を余儀なくされ、家財道具は全て使えない悲惨な事態となりました。 救助法適用ならば65万5,000円以内の応急修理代の支給に、支援法が適用ならば補修で50万円の支援金が受け取れ、生活再建にも役立つものでした。しかし、国の制度である救助法適用条件そのものにも、人口規模で滅失家屋を100以上にするなどとする弊害もあったことは否めません。 しかし、災害救助法施行令第1条第1項第4号に基づく適用になぜ至らなかったのか。4号適用は、多数の者が生命または身体に危害を受ける、または受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要とする場合に判断するものです。4号適用になぜ切り替えなかったのか、その判断はどうだったのか、理由をお聞かせいただきたいと思います。危機管理統括監、お願いします。 ◎危機管理統括監(横山直樹君) 議員の御指摘にございました災害救助法施行令第1条第1項第4号に基づく災害救助法の適用は、多数の者が生命・身体への危害を受け、または受けるおそれが生じており、避難して継続的に救助を必要とする場合に可能とされておりますが、国が運用上の取扱いとして示している適用判断の要件といたしまして、被災市町村に災害対策本部が設置されていることや、避難者数が今後増加する見込みであることなどがあり、今回、この要件を満たさなかったことから、適用を見送ったところでございます。 ◆(前屋敷恵美議員) 今、御説明をいただきましたけれども、緊急時での対応や判断には困難性も確かにあるかとは思います。しかし、そこには、やはり適切かつ的確な判断が求められるものだと思います。 今回、この経験を教訓として、今後どのように生かしていくのか伺いたいと思います。危機管理統括監、お願いします。 ◎危機管理統括監(横山直樹君) 今回の台風第14号では、災害救助法第2条第2項が、災害が発生するおそれのある段階で適用とされた初めての事例となりました。その判断を行うまでの過程におきまして、市町村との連携の重要性を改めて認識したところでございます。 このため、近く災害対策本部の設置や廃止の考え方、住家被害の早期報告の必要性などについて、市町村と意見交換を行うことにしておりまして、今後のより適切な適用判断につなげてまいります。 ◆(前屋敷恵美議員) ぜひ今後に生かしていただきたいと思います。今後の対応として、特別警報が発せられたら、ちゅうちょなく4号適用を行うことが必要だとも思います。救助を必要とする人への支援を重視することが大事であります。 そこで、被災者生活再建支援法の適用とならなかった市町村に居住する世帯の住家被害に対する県の支援について、福祉保健部長にお伺いしたいと思います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 自然災害による住家被害につきましては、災害救助法とは別に被災者生活再建支援法があり、本年9月の台風第14号につきましては、現在、延岡市に適用されているところであります。 これにより、延岡市内の中規模半壊以上の被害を受けられた世帯に対しましては、国と都道府県の拠出により造成された基金から、被害の程度や再建の方法に応じ、最大300万円の支援金が支給されます。 御質問のありました、被災者生活再建支援法が適用とならない市町村の被災世帯につきましては、県と市町村で設置しております宮崎県・市町村災害時安心基金から、法に基づく支援と同じ条件で、同等の支援金を市町村を経由して支給することとなっております。 ◆(前屋敷恵美議員) しっかり支援を行って、被害に遭われた方々の生活再建に寄り添っていただきたいと思います。 あわせて、下川東の浸水・内水対策で、一昨日、国交省による対策会議が開かれました。都城市や宮崎県からも出席されたようですけれども、今後、原因の究明や排水機場の課題などを検討されるのではないかと思っています。ぜひ県も積極的に今後の安全対策に関わっていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。ぜひ、今回の被災の状況、台風の対応について、今後に大いに生かしていただきたいと思います。 では続いて、インボイス制度について伺います。 来年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入が図られることになっております。 そもそも、なぜ国は制度導入を必要としているのか、その理由、制度の認識について総務部長、お聞かせいただきたいと思います。 ◎総務部長(渡辺善敬君) インボイス制度につきましては、令和元年10月1日から、消費税が標準税率10%と軽減税率8%の複数税率になったことで、令和5年10月から導入されるものであります。 複数税率の下で消費税の適正な課税が行われるためには、売手と買手で税率の認識が一致していることが必要とされていますが、現行制度では、売手側に請求書等の交付義務やその写しの保存義務もなく、買手側が適正に申告しているかどうか確認が困難な状況にあります。 こうしたことから、インボイス制度は、取引内容の正確な把握と、申告のミスや不正を防ぐために必要なものであると認識しております。 ◆(前屋敷恵美議員) 政府も、複数税率の下で適正な課税を行うために必要と言うわけですけれども、2019年から消費税が10%に引き上げられ、8%と10%、2つの複数税率が導入されて3年がたちます。納税事務に混乱が起きたなど聞いたことはありません。インボイス制度を導入しなくても、現行の売上額と仕入額から納税額を計算する「帳簿方式」で十分やっていけるのではないかと思います。 インボイス制度が導入されると、消費税の免税事業者への影響が大きいと言われていますが、県としてはどのように見ておられるのか、地域経済にも影響を及ぼすと考えられますが、どう認識しているのか、商工観光労働部長に伺いたいと思います。よろしくお願いします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) インボイス制度の開始に伴い、中小零細事業者やフリーランス、シルバー人材センター会員などの免税事業者は、仕入税額控除に必要な「適格請求書」を発行できる課税事業者となるか、免税事業者のままでいるかを選択することとなります。 この点について、県内の商工団体からは、免税事業者が課税事業者になることを選択した場合、新たに納税や経理事務の負担などが発生することとなり、一方、引き続き免税事業者であることを選択した場合には、買手側である課税事業者が仕入税額控除を受けられないために、取引を打ち切られる可能性もあるのではないかとの意見を伺っております。 このような制度導入の影響を受ける事業者につきましては、国において負担軽減策の検討が行われているところでありますので、県といたしましては、商工団体とも十分連携しながら、国の動向も含め、制度の周知や広報などに努めてまいります。 ◆(前屋敷恵美議員) いろいろ伺ってまいりました。今、商工観光労働部長も、様々な影響が及ぶであろうということをお話しになりました。 このインボイス制度が導入されると、商品を販売したりサービスを提供したりして消費税を受け取るたびに、インボイスを発行して相手に渡すことになります。 しかし、インボイスを発行するためには、国税庁に申請して登録事業者になることが必要です。 ところが、消費税法では、登録事業者は免税の特例を受けられないということが定められております。年間売上げが1,000万円以下であれば、現在は免税ですが、登録してしまうと、売上げがたとえ50万円とか100万円しかなくても消費税を納税しなければならなくなります。 インボイスの導入で、事務的な負担が増すだけでなく、金銭的にも大きな負担が生じることになります。しかし、登録事業者にならなければ、仕事や取引から外されたり、値下げが要求されたりと、小規模事業者にとってはまさに死活問題、廃業の危機にさらされることにもなりかねません。 実際に影響を受ける可能性のある業種は、先ほど部長もおっしゃいましたけれども、小売店や飲食店、理美容やクリーニング店などのサービス業、大工の一人親方、個人タクシー、貨物運送業、農家、フリーランスで働くインストラクター、ダンス・スポーツジム・ピアノ教室などの講師、文化・芸術家などなど、シルバー人材センターの会員も含めると、約1,000万人は超えるだろうと推定されております。 まさに国民生活そのものの危機と、地域経済にも影響を及ぼすことは疑いないと思います。なぜ政府は今、導入しようとするのか。私は、最大の理由はさらなる消費増税のためだと思います。 政府は今、軍事費の倍加を言い始めました。その財源も含めて消費税の増税で賄うとすれば、税率は大幅に引き上げられ、食料品以外にも幾つかの軽減税率の必要性が出てまいります。そうなると、帳簿方式では対応できなくなり、インボイスの導入は不可欠だと考えることに至ったのだと思います。 国民に、県民に不利益をもたらすインボイス制度の導入について、中止を求めるべきと考えますが、知事の御見解をお聞かせください。 ◎知事(河野俊嗣君) インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税が行われるために導入されるものでありますが、一方で、制度の円滑な導入に向けては、中小事業者に与える影響等を踏まえながら、引き続き、IT導入補助金など必要な支援が行われるべきであると考えております。 なお、報道によりますと、国においては、小規模事業者への軽減措置や、シルバー人材センターの運営が困難にならないよう契約形態の見直しなども検討されているということであります。 県としましては、このような国での議論も含め、国や関係団体と連携しながら、今後とも周知・広報などに努めてまいります。 ◆(前屋敷恵美議員) 今まさに、政府が行おうとしている激変緩和策でありますけれども、それは時限的なもので、何年かすればなくなってしまうわけですから、国民への負担、行政の負担は本当に計り知れないと思います。 今、インボイス制度への不安が広がり、反対世論も高まっています。既に全国では500に近い自治体で、また北海道、愛知、兵庫、福岡、熊本など12の道県で実施中止や延期を求める意見書が採択されております。 また、登録にはマイナンバーの記載が必須とされ、プライバシーも侵害されるとして反対声明も出されております。 暮らしや営業を脅かし、文化・芸術分野の活動も生業も潰していくインボイス制度は、実施を中止する以外にありません。このことを私は強く求めておきたいと思います。 では続いて、会計年度任用職員制度の在り方と処遇改善について伺います。 まず、令和4年4月1日時点での知事部局の会計年度任用職員の数、あわせて、知事部局の職員数に占める会計年度任用職員の割合を伺いたいと思います。総務部長、お願いします。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 知事部局における会計年度任用職員数は、令和4年4月1日現在で1,305人となっております。 また、知事部局の職員数と会計年度任用職員数の合計に占める会計年度任用職員数の割合は、令和4年4月1日現在で26.6%となっております。 ◆(前屋敷恵美議員) ではあわせて、会計年度任用職員制度の概要をお聞かせください。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 会計年度任用職員の任用においては、原則として毎年度、公募を行うこととされておりますが、例外として、公募を経ずに同一の職務内容の職への再度の任用も連続2回までできることとしております。なお、公募を経て客観的な能力実証が行われるのであれば、任用回数に制限はありません。 勤務時間につきましては、職務の内容や業務量を考慮して設定しており、知事部局においては、一部を除き、パートタイムでの任用となっております。 また、給料・報酬の水準は、従事する職務の内容に応じて、一般の職員の給料表を基礎としており、一定の条件を満たす場合には、期末手当も支給されるといった制度になっております。 ◆(前屋敷恵美議員) 地方公務員法と地方自治法の改定によって創設されたのが、会計年度任用職員制度です。宮崎県も2020年4月から導入されました。それまでの非正規職員の方のほとんどが、この会計年度任用職員になられたと思います。 今や自治体にとってなくてはならない非正規職員、会計年度任用職員として、正規の職員の皆さんと一緒になって仕事を担うことで、職場は回っていると思います。だからこそ、もっと処遇改善が必要だと思っています。 そもそも会計年度任用職員制度は、正規職員を原則とする地方公務員法に、1年任用の会計年度任用職員として、新たな非正規職員を制度化するもので、この非常勤の職を「人員の調整弁」として利用することがあってはならないと私は思います。 本来、住民の生活を支える自治体の業務は、正規の常勤職員によって自治体が直接執行すべきものです。基本的に正規職員を増やして、会計年度任用職員に頼らない体制を取るべきだと思いますが、総務部長の見解を求めたいと思います。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 多様化する県民ニーズに対応するためには、組織として最適と考える任用、勤務形態による職員構成を実現することにより、効果的、効率的な行政サービスを行っていくことが重要であります。 このため一般の職員につきましては、業務の必要性、効率性等を総合的に判断の上、必要な人員を配置し、適切な定員管理に努めております。 また、会計年度任用の職につきましても、毎年度、業務内容や業務量を考慮し、設置の必要性を吟味しております。 引き続き、それぞれの職場の実態を踏まえながら、適正な業務執行体制の確保に努めてまいります。 ◆(前屋敷恵美議員) 私は、今申し上げましたけれども、正規の職員の肩代わりをさせるような任用制度であってはならないということは、強く申し上げておきたいと思います。そして、処遇改善についてですが、1つは、今部長がお答えになりましたけれども、それまで支給されなかった一時金が支給されるようになった。私は、それは改善面だと思います。 しかし、期末手当だけの支給で、勤勉手当がありません。しかし、法改定当時になかった国の非常勤の勤勉手当が、現在では支給されております。ですから、自治体の会計年度任用職員にも当然支給すべきものだと私は思います。 2つには、公募なしでの更新についてです。 制度前までは、何年もの間、非正規職員を任用してきたのに、公募なしでの更新は2回までとしていることの不合理性です。 総務省は、会計年度任用職員制度導入に際しても、公務の運営においては、任期の定めのない常勤職員を中心とするという原則を前提とすべきだと、このように言っております。公募なしの更新は、自治体の判断で本人の希望を最大限に受け入れるべきだと思います。これらをぜひ検討していただきたいと思います。 この件は、これからも引き続き求めていきたいと思います。総務部長、御見解があればお聞かせください。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 御指摘をしっかり受け止めまして、国や社会経済情勢の変化に対応して、しっかり検討していきたいと思います。 ◆(前屋敷恵美議員) ありがとうございます。今、国民・県民を総じて、この物価高騰の中で大変厳しい生活を余儀なくされております。しかし、それを棚に上げて、政府はもっと軍事費を増やして、県民の生活はより一層厳しいものになろうとしております。 こういう国の政治を踏まえて、県民の暮らし、平和と安全をしっかり守っていくのが地方自治体の大きな役割であることをしっかり知事も認識していただいて、県民の暮らしと平和と安全を守るために御尽力いただきたいと思います。 以上で質問の全てを終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(中野一則) 以上で午前の質問は終わります。 午後は1時再開、休憩いたします。   午前11時40分休憩─────────────────────   午後1時0分再開 ○議長(中野一則) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次は、右松隆央議員。 ◆(右松隆央議員) 〔登壇〕(拍手) 定期購読をする月刊「致知」に、目を引く一説がありました。  ゾウから鼻を取ったら、ゾウでなくなる。キリンから首を取ったら、キリンでなくなる。では、人間から何を取ったら、人間でなくなるのか・・・。  それは・・「心」・・であります。  こころを持って生まれてきた  これほど尊いものがあろうか  そして、この心を悪く使う  これほど、相すまぬことがあろうか  人間は生まれながらに、心を備えている。こんなに尊いことはない。まさにその通りである。心がなければ、宇宙も、世界も、存在しない。嬉しい、楽しい、幸せ、だといった、感情は一切なくなる。人間は、こんなに素晴らしいものを天から与えられているのである。ところが、この心を、悪く使うことがある。こんなに、相すまぬことが、あろうか。  一番、大事なことは、  この、こころに、  花を咲かせること  小さい花でもいい  自分の花を咲かせて  仏さまの前に持ってゆくことだ 今年8月に、類いまれな経営者として天寿を全うされた稲盛和夫氏は、「私は、“善きことを思い、善きことをするときには、天地が味方する”ということを、人生のバイブルとして、これまで歩んできた」と述べておられます。その稲盛氏のお話で最も有名なのが「心の経営」であります。 その中で、人生・仕事の成功の方程式は、「能力×熱意×考え方」だと提唱されております。 熱意と能力はプラスの方向だけに左右しますが、考え方はプラスとマイナス、どちらの方向性もあり、考え方がマイナスだと結果は全てマイナスとなることから、考え方が最も重要であると説いておられます。能力も熱意もある人が、妬みや嫉妬、怒りなどマイナスの考え方で動くと、大きな悪害を及ぼすことになります。すなわち心、心の在り方が最も大事だということであります。 そこで知事に、本県の県政運営を株式会社宮崎県と見立てて、そのトップである社長として、「心の経営」という観点から、県職員に、県勢発展にはどういう考え方や姿勢が必要であると説いていかれるのか、お伺いいたします。 あとは質問者席にて質問を行わせていただきます。(拍手)〔降壇〕。 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 御質問の「心の経営」という観点につきましては、一代で京セラを世界的な電子部品メーカーに育て上げられたほか、日本航空の再建にも手腕を発揮された稲盛和夫氏の経営哲学に基づくものと理解しております。 稲盛氏は、心という概念を経営の中心に据え、人間として何が正しいかを判断基準とし、倫理観や道徳観、社会的規範に基づく公明正大な経営、業務運営を行うことの重要性を説いた経営哲学が、京セラフィロソフィとして広く知られております。 また、その哲学を日々の経営に反映させるため、アメーバ経営という経営管理手法を提唱されております。その中では、組織を構成する部署ごとに、現場の社員一人一人が主役となって自主的に経営に参加する、全員参加経営を実現することが重要とされております。 稲盛氏のこの経営哲学の中では、職員が日々業務に取り組む際の指針として、現場主義に徹することや率先垂範する姿勢、お客様第一主義、チャレンジ精神などが掲げられており、これらは私が基本姿勢とします「現場主義」や「対話と協働」、さらには県の人材育成方針にも相通ずるものがある大変重要なメッセージ、また提唱であろうと考えております。 本格的な少子高齢・人口減少社会の到来やデジタル化の進展などにより、本県を取り巻く環境は大きく変化するとともに、新型コロナ等で不安感や閉塞感が漂うこのような時代だからこそ、全ての職員の総力を結集し、県民の心に寄り添った行政経営・運営に取り組むことで、県民の福祉の向上や県勢の発展に結びつけてまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(右松隆央議員) 知事の復唱になってしまいますが、心をベースに経営すると業績がよくなる根拠として、稲盛氏は7つ挙げられております。 1つは、幸福観や仕事観、人生観や企業観といった価値観を共有する「経営理念」があるから。2つ目に、リーダーの人格が企業に魂を入れる「リーダーシップ」があるから。3つ目に、全員で課題を共有し、知恵を出し成果を喜ぶ「全員参加」であるから。4つ目に、従業員の能力を最大に引き出す「目標管理」があるから。5つ目に、経営を見える化し、人間の弱い心を補完する「会計管理」があるから。6つ目に、考え方を共有し、伝え続ける「フィロソフィ教育」があるから。そして最後に、仕事場が実践的要素の場を提供する「アメーバ経営」であるからと理論づけております。そして、強烈な思いがあれば、夢を実現する機会は無限にあると、社員に説かれております。 ぜひ、4期目の信任を得ていただきまして、心の経営を根幹に置いた県政運営をお願い申し上げます。 続いて、本県の財政運営について伺ってまいります。 国において、8月に総務省がまとめた来年度予算の概算要求は、一般会計で、今年度比6.7%増の17兆5,675億円、自治体に配る地方交付税は、特別会計からの繰入れを含めて、同0.8%増の18兆1,931億円となり、三位一体改革以降の20年間で最高水準となっております。 自治体が比較的自由に使える一般財源総額は、同1.3%、8,000億円増の64兆7,000億円を見込んでおります。なお、地方税収は、コロナ禍でも堅調な企業業績を背景に、1.2兆円増の45兆円と試算されているところであります。 現在、財務省による査定が行われており、各省庁の要求が積み上げられた予算案が、来月、閣議決定され、国会での審議が年度末にかけて行われることとなります。 そこで、地方交付税の配分でありますが、所管する総務省の概算要求の概要において、来年度も引き続き、地方財政は2.4兆円という巨額の財政不足が生じ、平成8年度以降28年連続して、地方交付税法第6条の3第2項の規定に該当することが見込まれることから、同項に基づく交付税率の引上げについて事項要求すると明記されているところであります。 地方交付税は、所得税、法人税、酒税、消費税の一定割合、及び平成26年に新設された地方法人税の全額とされており、その制度の性格として、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を保証するためのもので、言わば国が地方に代わって徴収する、地方固有の財源であると法律で位置づけられております。 したがって、義務的経費においては、国は必要な財源措置を講じなければならないのであって、財源不足が常態化している地方財政において、地方交付税の法定率を引き上げることによって、地方が安定的に一般財源総額を確保する抜本的な対策は、極めて真っ当な国への要求になるわけであります。 そこで知事に、全国知事会の地方税財政常任委員長として、来年度の一般財源総額確保のために、地方交付税率の引上げについて、国に対しどのような要望をされているのか、具体的にお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 地方団体が、住民に身近な行政サービスを安定的に供給しつつ、デジタル化や脱炭素化の推進などの重要課題に対応するためには、地方交付税を含む一般財源総額の安定的な確保・充実が必要であります。 しかしながら、御指摘のとおり、地方交付税については、巨額の財源不足が継続的に生じてきておりますことから、総務省の令和5年度概算要求においても、交付税率の引上げが事項要求されております。 地方としましても、地方交付税の本来の役割が適切に発揮されるよう、臨時財政対策債の廃止や交付税率の引上げなどの抜本的改革により、財源の安定的な確保を図ることが必要不可欠と考えております。地方税財政常任委員長として、全国知事会の提言にその旨を明記し、総務省や財務省をはじめ、政府・与党に継続して訴えているところであります。 今後とも、全国の知事を代表しまして、交付税率の引上げによる地方交付税総額の安定的な確保に向けて、地方の声を粘り強く国に届けてまいります。 ◆(右松隆央議員) 同じく本県の財政運営について、域内経済の活性化や企業業績とも連動する法人住民税の推移と、増収に向けた取組について伺ってまいります。 この法人住民税のうち法人税割の税率は、都市と地方の税収格差を解消するため、先ほど申し上げた、平成26年に地方法人税が新設されたことによって段階的に引き下げ、引下げ相当分を地方交付税の原資にする措置が取られております。そういった中で、これは市町村でありますが、この10年で、税率の引下げにもかかわらず税収を増やした市町村が、全国の3割に当たる575に上っております。 そこで総務部長に、法人住民税のうち税率の変わらない均等割における、県と市町村のこの10年間の推移と、黒字法人だけが利益に応じて納付していただく法人税割の、市町村の税収状況をお伺いいたします。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 議員御指摘のとおり、企業からの税収の増加を図るという視点は、地域経済の活性化や県政の安定的な財政運営にとって重要であると考えております。 まず、法人県民税につきましては、法人の所得にかかわらず資本金の額に応じて課税される均等割は、直近10年間で、11億7,118万2,000円から12億3,690万6,000円と、約5.6%増加しております。 次に、法人市町村民税の均等割は、県内市町村の合計で、令和3年度の速報値で29億5,597万9,000円と、10年間で約7.5%増加しております。 また、国税である法人税を基準として、企業の所得に応じて課税される法人税割につきましては、10年間のうちに6.3%の税率の引下げがあった中でも、令和3年度の速報値では、10年前と比較して14市町村で増加しております。 なお、令和2年度時点で増加となるのは7市町村でありましたので、令和2年度から3年度にかけては、新型コロナからの回復傾向も見られると考えております。 ◆(右松隆央議員) 引き続き、法人住民税を伸長させた全国での市町村の例を見ると、従来型の団地整備だけでなく、広大な農地や自然など、地方の弱みと言われていた要素を逆に生かした柔軟な発想と戦略で企業を呼び込み、域内経済を活性化させた例が、枚挙にいとまがないほど出てきております。 全国トップの4.9倍に増収させた熊本県合志市は、既に40年前から熊本テクノポリス建設基本構想によって、県主導で半導体関連の集積を進めてきた成果が出てきており、今回、台湾のTSMCが進出することになった、隣接する菊陽町と、さらなる相乗効果を生み出す例は別格として、例えば食品製造業で図抜けた北海道では、ニセコ町が食品製造企業の増加や観光業で3.2倍に増収させたり、同じく北海道で過疎指定を受けた更別村では、農地を実験場として使える実証フィールドの拠点として、IT企業の集積によって、税収を2.8倍に引き上げております。 そこで総合政策部長に、税収増につながる域内経済の活性化を本県はどう進めていくのか、法人住民税の増収につながると手応えを感じている県内の事例と、今後の具体的な戦略についてお伺いいたします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) 地域経済の活性化には、地域の強みを生かしながら企業や産業の成長を図ることが重要でありまして、豊富な農林水産物を核としたフードビジネスの振興や、地域経済を牽引する成長企業の育成、企業立地の推進等に取り組んでいるところであります。 議員御紹介のような取組の事例といたしましては、まず、企業立地の事例といたしまして、航空機部品メーカーである日機装の進出によりまして、約230億円の設備投資や、約700人の雇用創出という直接的な経済波及効果がありましたほか、関連企業の立地や県内企業との取引も進んでおりまして、今後はさらに新分野への展開なども期待されるところであります。 また、フードビジネスの事例では、以前お答えいたしましたが、宮崎市高岡町のお茶農家を中心とした有機栽培と、県外商社との連携によるEU等への輸出の取組が、現在では近隣市町の農業法人等も加わりまして、90ヘクタールを超える輸出向け生産グループに拡大しております。 今後も、このような波及効果の高い取組を各地域において後押しするとともに、デジタル化やゼロカーボンなどへの対応、さらに新たな成長の芽となるスタートアップの支援等を積極的に進めることによりまして、企業や産業の育成・集積につなげてまいります。 ◆(右松隆央議員) 域内経済の活性化も税収増につながる取組も、長年の地道な努力が実を結んでいる自治体がほとんどであります。 引き続き、地域の特色と強みを生かした産業育成に力を尽くしていただきますよう、よろしくお願いいたします。 次に、本県の経済政策について伺ってまいります。 今回、私が取り上げる施策は、来年度の県施策の構築に当たっての視点にもある、スタートアップ事業とDX事業であります。 スタートアップ事業で参考になるのは、やはり福岡市の取組であります。今から10年も前にスタートアップ、すなわち会社を興す、起業・都市宣言を行い、国家戦略特区を活用し、医療や農業などで革新的な事業をする、設立5年未満の法人を対象に税制を優遇するなど、市独自の制度も創設しております。 相談窓口であるスタートアップカフェの支援を受けて会社を興した件数は、この8年で681件に上っております。相談件数は、年間3,000件を超えるとのことであります。スタートアップ都市宣言の目的は、雇用を創出しながら、地域の課題も解決するサービスを誕生させて市民生活の向上を図ることがその狙いともなっております。 また、国もスタートアップ支援に本腰を入れ、岸田総理の看板政策である、新しい資本主義の柱として、本年をスタートアップ創出元年と位置づけ、新興企業数を5年で10倍に増やす目標を掲げたところであります。 そこで商工観光労働部長に、本県経済の浮揚のために、新たな成長活力の創出につながるスタートアップ事業に具体的にどのように取り組み、そしてどのような成果を出していくのか、お伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 先進的な技術やアイデアを強みに、新しいビジネスの急成長を目指すスタートアップにつきましては、経済活性化の原動力となるイノベーションを生み出すとともに、環境問題など社会課題の解決にも貢献し得るものとして、これからの社会経済において大変重要な役割が期待されているものと認識しております。 国も新しい資本主義の実現に向けた重点投資分野の一つに位置づけている中で、本県におきましても、地域特性を踏まえたスタートアップ創出・支援のための施策を検討しているところであり、例えば、起業家の育成や機運醸成、民間投資による資金調達の支援などが考えられるところでございます。 今後、産学金官の関係機関とも連携を図り、国の支援策も積極的に活用しながら、スタートアップの急成長を後押しすることで、本県の産業振興の中核を担う先進的な企業の創出につなげてまいりたいと考えております。 ◆(右松隆央議員) 本県の新しい取組に期待しますとともに、地道なスタートアップ企業の育成をよろしくお願いいたします。 同じく、国の重点投資の下、官民連携で推進していくことになるDX(デジタルトランスフォーメーション)についてであります。 様々な自治体がDX推進に向けて取組を強化していく事例の中で、例えば東京都では、財団法人を設立し、民間の高度な専門人材を雇い、区市町村に技術面で助言し、申請サービスの電子化を加速させる事業であったり、隣県の大分県では、DXに本気で取り組む意欲のある県内企業をDX宣言企業とし、コンサルや必要な技術を提供できる事業所をDX推進パートナーズとしてそれぞれ募り、両者のマッチングを県が図る事業なども始まっております。 そこで、本県におけるDXの取組について、地域の課題を解決し、事業者や市民生活の向上を図るという観点から、とりわけ自治体DXがどこまで進んでいるのか、そして今後どのように取り組んでいくのか、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) 国は、住民や事業者の利便性向上と行政の業務効率化の両立を図るため、自治体DX推進計画を示しておりまして、市町村に対しましては、子育てや介護などの行政手続オンライン化などを、そして県にはその支援を求めております。 官民連携による地域課題の解決を進めるためにも、自治体のデジタル化が期待されておりますけれども、専門人材や推進体制を十分に確保できず、本計画への対応に苦慮されている市町村が多いと認識しております。 このため、県では今年度、自治体DXサポート事業におきまして、システムやネットワーク、セキュリティーなどの専門人材をアドバイザーとして県内外から6名確保し、システム導入に関する研修会の開催や、進捗状況に応じた個別具体的な助言指導を行っておりまして、来年3月までに、全ての市町村で国が求める27の業務のオンライン化が整うような作業を進めております。 今後とも、自治体DXの着実な推進のため、デジタル庁職員を招いた研修会の開催や、先行する自治体の優良事例の共有なども含めて、引き続き、市町村の実情に応じた伴走支援に取り組んでまいります。 ◆(右松隆央議員) 自治体DXは順調に進んでいるようであります。引き続き、官民連携でのDXの推進に積極的に取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。 本県の経済政策において、ウォーカブル推進都市による域内消費の拡大について考えてまいります。 今、全国の自治体が、「歩きたくなるまちづくり」に注力し始めております。推進都市は今年の6月の時点で328都市と、全自治体の2割を占めるまでになっており、全国最多の大分県では9割もの自治体が取り組むほどであります。 この、まちなかウォーカブル推進事業は、国土交通省が令和元年7月に始めており、街路や公園、広場の利活用といった計画・構想を認定し、事業費の半額を国費で補助するものであり、車中心から人中心の空間に「まち」を転換させることで、域内消費や健康寿命の延伸など、地域課題の解決につなげていく取組であります。 さきの大分県は、平成29年に、県庁所在地の大分市も含めた全市町村が人口減に転じたこともあり、中心市街地衰退への危機感を強く抱き、再生の起爆剤として、豊後大野市や津久見市が施策を積極的に活用し、モデルケースとなっているものであります。 市町村が都市再生整備計画を策定し、居心地がよく歩きたくなる町なかの創出を官民一体となって取り組むことは、まちに活力を生み出すことはもとより、世界のまちづくりの潮流に乗り、持続可能かつ高い国際競争力の実現にもつながるものと認識しております。 そこで県土整備部長に、街路空間の再構築、利活用の先進的な取組が見られるようになった近年、町なかの歩行者の増加を狙う、まちなかウォーカブル推進事業をどのように進めていくのか、そして人口減対策や域内消費の拡大への効果をどう考えているのか、お伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) まちなかウォーカブル推進事業は、居心地がよく歩きたくなる町なかを目指し、県や市町村、民間事業者等が実施する道路や広場等の整備に対して、国が国費率のかさ上げや支援対象の拡充などにより、重点的な支援を行うものであります。 現在、県内では高千穂町と綾町で、県と町が連携し、事業を実施中です。 具体的には、高千穂町の天岩戸神社周辺では、神話伝承の地にふさわしい歩道橋などの整備を進めており、綾町の役場周辺では、電線地中化と質の高い歩道空間の整備により、中心市街地の魅力向上に取り組んでおります。 このほか、宮崎市の高千穂通り周辺では、国や県、市などが連携し、本事業の活用も視野に、人々が集い、にぎわいが感じられる町なかを目指し、社会実験を進めているところであります。 県としましては、本事業には、交流人口の増加や域内消費の拡大などの効果に加え、住み続けたくなる魅力ある町なかとなることで、人口減少下でも持続可能なまちづくりが期待できることから、今後も市町村と連携し、しっかりと取り組んでまいります。 ◆(右松隆央議員) コロナ禍で、ウォーカブル推進都市を一層増やした都道府県が多く出てきておりますので、引き続き積極的な取組をよろしくお願いいたします。 本県の経済政策における最後に、移住支援策について伺います。 近年、公営住宅を活用した移住支援が、全国の自治体で広がってきております。低所得者世帯の入居が原則の公営住宅でありますが、老朽化に伴う空き住戸の増加や入居者の高齢化もあって、入居条件を緩和して、お試し移住や若者世代を受け入れて地域活性化を図るなど、公営住宅を有効活用する例が増えてきております。 本来の対象者の入居を妨げなければ、入居条件にかかわらず、国の承認を得て、空き住戸を使用できる制度に目をつけて、それぞれの自治体で独自の取組を展開しているところであります。 岩手県では、移住・定住を望む人に県営住宅を月額1万円で入居者の募集をかけたところ、最初の5月では15戸が半月で埋まり、第2弾の募集も実施しております。なお、入居要件として、県の公式交流サイト、SNSなどで県内の生活や魅力を発信すること、申請時に世帯主が18歳から59歳までであり、3か月以上、居住できることなどが要件となっており、原則として先着順で入居者を決めることとなっております。 そこで、公営住宅の空き住戸の有効活用策として、入居要件を緩和して本県独自の要件を設けることで、移住希望者や若者の単身者などを受け入れる取組を検討できないか、県土整備部長にお伺いいたします。
    ◎県土整備部長(西田員敏君) 県営住宅の空き住戸の割合につきましては、令和4年3月末時点で、建て替えなどのために入居募集を止めている住戸を除いて約18%となっており、その解消は重要な課題と認識しております。 県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸するものでありますが、これまでに、障がい者支援を行うグループホームや、配偶者からの暴力被害者、東日本大震災や、今回の台風第14号による被災者の支援などを目的に、使用を認める運用をしてきたところであります。 御指摘のとおり、国の承認を得ることにより入居要件を緩和し、地域の実情に応じて弾力的に空き住戸を活用できる制度があり、この制度を活用することで、外国人技能実習生の受入れや、移住の促進、団地自治会活動の活性化などにつながることが期待されますことから、本県におきましても、関係部局と連携し、UIJターンを含む若者の受入れなど、幅広く空き住戸の活用を検討してまいります。 ◆(右松隆央議員) ぜひ、空き住戸の有効活用をよろしくお願いいたします。 次に、医療・福祉政策について伺ってまいります。 まずはコロナ対策であります。 新規陽性者の全数届出の見直しが、9月26日に全国一律でスタートいたしました。発生届の対象を、高齢者など重症化リスクの高い患者に限定することで、医療機関の事務負担を軽減させることが大事であるとの狙いは、十分理解できるものであります。 一方で、届出の対象外となる低リスク患者の体調急変時の対応も、また大事になってまいります。健康のフォローアップ体制をしっかり整え、体調異変に的確に対応していくことが極めて重要であります。 そこで福祉保健部長に、コロナ新規陽性者の全数届出の見直しが、全国一律でスタートして、はや2か月になるわけでありますが、この間、保健所や医療機関における事務負担の軽減など、現場の声をどのように受け止めているのかお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 全国一律で全数届出の見直しが導入されたことにより、医師が発生届を提出しなければならない対象者は、65歳以上の方、入院を要する方、重症化リスクがあり新型コロナの治療薬の投与または酸素投与が必要な方、妊娠している方の4類型に限定されました。 全数届出見直し導入後、本県における届出対象者は約4,000人で、県が発表した新規感染者約2万人の2割程度となっております。 届出対象者については、従来どおり医療機関で発生届を作成し、保健所等で健康観察等を行っておりますが、保健所においては、それまで全ての感染者に行っていた疫学調査の業務負担が大幅に軽減し、届出のあった重症化リスクの高い方の疫学調査や入院調整など、ハイリスク者への重点的な支援につながっているところであります。 また、医療機関におきましては、新規感染者の報告内容が年代別の人数のみに見直され、発生届の入力対象は約2割となったことから、事務負担が相当数軽減されたとの御意見をいただいております。 ◆(右松隆央議員) 引き続き、届出の対象外となる低リスク患者の体調急変時の対応が的確に行われているのか、現場の実例も含めてお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 県では、届出対象外の方等の健康管理を適切に実施するため、看護師等が常駐するフォローアップセンターを設置しているところであります。 新規感染者の約8割を占める届出対象外の方につきましては、このフォローアップセンターにおいて、24時間体制で体調悪化や療養中の相談に対応しております。 全数届出の見直しが導入された9月26日から11月25日までの2か月間にフォローアップセンターに相談があった件数は、延べ1,667件で、そのうち体調悪化や症状に関する相談は、延べ665件、約4割となっており、療養や受診に関する助言を行っております。 また、全数届出見直し後は、保健所においては届出対象外の方を把握しないこととされたため、緊急性を要する場合に備えて、各保健所と消防局や消防本部において、あらかじめ救急搬送に関する協議を行ってきたところであり、実際に小児の熱性けいれんを起こした子供を救急搬送した事例があるなど、体調急変時にも適切に対応しているところであります。 ◆(右松隆央議員) 引き続きの的確な対応をよろしくお願いいたします。 次に、福祉政策において、ヤングケアラーの支援強化について伺ってまいります。 昨年9月の代表質問において、重層的支援体制整備事業を問うた中で、家族の介護や世話に追われる子供たち、いわゆるヤングケアラー、そして、ダブルケアの問題などを抱え、社会的孤立に悩む方々への相談体制の統合と、一括した整備について問わせていただきました。 今回は、ヤングケアラーで悩む子供たちへの直接支援について伺ってまいります。 さきの6月議会で河野議員が問われておりましたが、近年、様々な自治体で、個人面接やアンケートを通して大規模な実態調査を行っております。 例えば大阪市の市立中学に通う5万人を対象にした調査では、回答者の実に9%が、家族の介護や世話を行うヤングケアラーに該当すると公表しており、その具体的な影響として、「自分の時間が取れない」「勉強、宿題に影響が出ている」との回答が上がっております。 また、他の自治体の調査においては、ヤングケアラーという言葉自体を知らなかった割合が、小学生で68%、中高生でも56%に上ったところもあり、「人に相談すべきことではない」と考える児童生徒もおりまして、その御家族の世話には、障がいのある兄弟を見守るといったケースも含まれるということであります。 実態調査の中で、大変難しい家庭の実情があることがうかがい知れるものであります。 そのような中で、以前、視察にも行ったんですが、子育て支援において様々な先駆的な取組を進めている明石市などを抱える兵庫県において、神戸市が、日常的に家族の世話に追われる18歳未満のヤングケアラーがいる世帯を対象に、無料でヘルパーを派遣し、勉強など子供の本来の生活を確保することを目指す新規事業を始めております。 同市では、昨年6月に、全国の自治体で初めて「こども・若者ケアラー相談支援窓口」を総合福祉センターに開設しており、1年で176件の相談を受け、今回の新規事業で100世帯ほどの利用を見込んでいるとのことであります。 そこで、本県におけるヤングケアラーの実態調査の取組の進捗状況と、ヘルパー派遣といった踏み込んだ支援策も検討すべきと考えますが、福祉保健部長に御所見をお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) ヤングケアラーにつきましては、家庭内のデリケートな部分に関わることが多く、表面化しにくい問題であるため、まずはしっかりと実態を把握することが重要であります。 このため県では、教育委員会と連携し、外部委託により、県内の小学6年生、中学2年生、高校2年生の約3万人を対象に、家庭や生活の実態についてアンケートを行うとともに、ヤングケアラーに関する教職員の認知度や学校の対応状況等につきましても、現在調査中であります。 今後は、委託業者からの結果報告を12月中に受け、来年1月には速報値を公表する予定としており、詳細な調査結果につきましては、庁内関係各課や市町村、学校とも共有し、福祉や介護、教育等の各分野における具体的な支援策の構築につなげていきたいと考えております。 議員の御質問にありましたとおり、他県では、ヤングケアラーの負担軽減や学習支援を目的とした直接的な支援に取り組み始めた自治体もありますことから、そのような先進事例も参考にしながら、取組を進めてまいります。 ◆(右松隆央議員) 実態調査の迅速な対応に感謝しますとともに、公表結果を受けて、様々な支援策の構築をよろしくお願いいたします。 次に、本県の環境農林政策について伺ってまいります。まずは、建築材の供給状況についてであります。 ロシアによるウクライナ侵攻や、従来のウッドショックによる外材の価格高騰や輸入減による納期遅延によって、国産建築材の安定供給に向けた体制の強化に取り組む自治体が増えてきております。 今年の夏ぐらいからは、木材価格が徐々に下がってきているとはいえ、国産材の製材品価格は依然として高値で推移しております。 我が国は、木材需要の6割を輸入材、特に米材や欧州材に依存してきたことから、外材が高騰した際の急激な建築材の不足に早急に対応できなかった中、国産材の安定供給を強みに対応可能であった住宅メーカーというのは、一部に限られておりました。 北海道は、道産建築材の生産拡大のため、原木生産者への燃料費高騰に伴う経費の一部補助はもとより、2億5,000万円の事業費のうち6,000万円は、建築製材業への新規参入支援に充てたところであります。 そこで環境森林部長に、国産材製品の価格の推移と、県産建築用材の供給がどのような状況にあるのか、あわせて、県産建築用材の安定供給や増産に向けて、今後の取組をどう進めていくのかお伺いいたします。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 令和4年10月の国産材製品の全国平均価格は、杉の乾燥柱材で、1立方メートル当たり11万4,700円と、5年前に比べ約1.7倍の高い水準となっております。 また、令和3年の本県の製材品出荷量のうち、建築用材は約90%の90万4,000立方メートルであり、これは、全国の建築用材出荷量の約12%を占め、全国1位となっております。 現在、脱炭素化の動きを背景とした木材を建築物に積極的に利用する機運や、外材に対抗し得る品質・性能の確かな国産の建築用材への期待が高まっております。 このため県では、利用が進んでいない大径材を建築用構造材として利用するための研究開発や、強度の確かな乾燥材など高品質材の生産拡大に向けた木材加工流通施設整備に対する支援に加え、住宅メーカーとの協定締結による県産建築用材の安定供給体制の構築等に努めているところであります。 今後とも、こうした取組を着実に進めていくことで、県産建築用材の安定供給にしっかりと取り組んでまいります。 ◆(右松隆央議員) 今回の第3次ウッドショックによって、輸入材に依存してきたリスクが顕在化したわけでありますが、これからの脱炭素社会の実現に向けて、木造住宅の価値がより一層高まるとともに、新たな木の時代に入るとも言われております。このような時代の趨勢の中で、引き続き県産建築用材の安定供給体制の構築に御尽力をお願いいたします。 引き続き、カーボンニュートラルの実現に向けた取組の一つである健康住宅、いわゆる「ZEH(ゼッチ)」と言われるゼロエネルギーハウスの積極的な普及についてであります。 新規の戸建て住宅を検討する際に、今や必ずZEH(ゼッチ)の文字を目にすることとなりました。6年前に大手ハウスメーカーが一斉にZEHを取り入れた住宅を発表したことにより、認知度が一気に高まったわけでありますが、高断熱、高気密によって省エネを図るとともに、文字どおりエネルギー収支をゼロ以下にするわけでありますので、太陽光発電や蓄電システムを設置することで、環境と災害に強い家づくりにもつながることとなります。 国も普及に向けて補助メニューをそろえているわけでありますが、自治体によっては、ゼロカーボンに向けた目標数値を達成するために、独自の補助制度を構築しているところも出てきております。 そこで、本県が森林県としてカーボンニュートラルの実現をしっかりと進める上において、環境に優しく快適な暮らしにもつながる高断熱、高気密、さらにはZEH住宅の普及をどのように考え、どう支援していくのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 住宅の消費エネルギー収支の実質ゼロを目指すZEHは、CO2の排出削減に寄与するとともに、室温を一定に保ちやすいため快適性を高める効果や、太陽光発電設備、蓄電池を活用することにより、災害など非常時の電源確保としての効果も期待できます。 国内では、新築住宅において、断熱性能の向上や高効率な設備の導入等により、一定以上のエネルギー消費量を削減したZEHを含む省エネ住宅の割合が、2020年度は約24%となるなど普及が進んでおり、本県においては、その割合を2030年度までに100%とする目標を、第四次宮崎県環境基本計画の一部改定において設定する方向で検討しております。 県としましては、ZEHの普及啓発を図るとともに、今年度は、住宅への太陽光発電設備、蓄電池の導入や省エネ住宅につながる窓ガラスの断熱改修などの支援に取り組んでいるところであり、今後とも、ゼロカーボン社会の実現に寄与するZEHの普及拡大を推進してまいります。 ◆(右松隆央議員) ZEHの普及など、住宅建築は、基礎工事も含めて日進月歩にあります。快適な住環境と、環境にも優しい省エネ住宅の普及拡大への後押しを、よろしくお願いいたします。 続いて、農政で2問お伺いいたします。まずは、化学肥料の高騰に伴う対応についてであります。 JA全農が発表した供給価格によれば、過去に例のない最大94%の値上げとなった秋肥より、上げ幅は抑えられたものの、春肥の価格帯は一部で前年比1.7倍と、さらに高騰が続くとされております。 そのような中、昨日も出ましたが、JA宮崎経済連が豚ぷんでつくった堆肥を3割配合した肥料を新たに開発し、全て化学肥料の同等の銘柄より15%から25%安く販売することとなりました。 農水省の第2次補正予算においても、肥料や飼料の国産化など、米粉の増産も含めた食料安全保障の強化に向けた構造転換対策に1,000億円超を計上し、持続可能な農業の拡大という今後の方向性を示しているところであります。 国産肥料の供給力を高める取組は、堆肥の利活用にとどまらず、下水汚泥から肥料の原料となるリンや窒素を回収し作られた肥料に、化学肥料の価格が20キロで数千円となる中、10キロで20円と安価であることも相まって、注文が殺到している佐賀県の事例も出てきております。 農水省は、さきの1,000億円のうち100億円を国内肥料資源利用拡大対策費に充てており、ペレット堆肥の製造の後押しをし、耕種農家による活用実証も含めて、堆肥の広域流通や下水汚泥肥料の活用拡大も加えて、国産肥料の安定供給の実現に本腰を入れることとなりました。 そこで農政水産部長に、輸入肥料の高騰が大きな課題となり、県内資源の肥料化に向けて、国庫予算も活用した積極的な取組が求められる中、堆肥や下水汚泥の活用も含めて、持続可能なみやざき農業をどのように確立していくのか、お伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 県内の肥料資源を利用する資源循環型農業の推進は、本県の農業が持続的に発展するためにも重要な施策の一つであり、県では様々な取組を行っているところです。 堆肥につきましては、県内の生産量と利用量の乖離が大きい課題等を踏まえ、良質堆肥の生産や堆肥利用の拡大を図るとともに、県産の豚ぷん堆肥のペレット化機械の導入支援等にも取り組んでおります。今後とも、御質問にありました国の事業等も最大限活用しながら、積極的に対応してまいります。 また、下水汚泥につきましては、県内29か所の施設で活用され、そのうち宮崎市上下水道局では乾燥肥料として安価で販売されるなど、農業への活用も行われておりますが、今般、国において利用拡大に向けた検討が進められたところですので、県ではその動きを注視しているところです。 堆肥や下水汚泥などの未利用資源の活用は、肥料価格が高騰する中、農業経営の低コスト化にも極めて有効でありますので、今まで以上にこのような取組を加速化させ、持続可能なみやざき農業の実現を目指してまいります。 ◆(右松隆央議員) 続いて、養殖業についてお伺いいたします。 農水省の漁業産出額のデータによれば、漁業産出額に占める養殖業の割合は、この60年間で4倍に増加し、2020年には36%に達しております。漁業資源の減少や、従事者の高齢化によって、特に福岡や和歌山では、漁業の柱を養殖へシフトする動きが加速しております。 先日、部会で視察に行った福井県小浜市のかつみ水産ベースは、もともとは国立研究開発法人水産研究・教育機構の庁舎跡地を県が取得し改修したものでありますが、県水産試験場の先端施設として、酒かすを食べさせて臭みをなくした「よっぱらいサバ」や「ふくいサーモン」の効率的な養殖技術の確立を目指しておりました。 まだこれからの段階ではありましたが、所長が特に強調していたのが、陸上養殖の優位性でありました。海洋環境や担い手、労働力の変化も踏まえ、加えて漁労利益の安定性に鑑み、特産のブランド品を今後量産する体制が構築できるのであれば、その将来性を示唆するものでありました。 そこで農政水産部長に、本県の養殖業における漁業算出額の推移と、今後の取組や支援の在り方、そして陸上養殖の将来性についてお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 本県の海面養殖業における生産額は、ブリ類やマダイを主体に85億円前後で推移しており、漁船漁業が伸び悩む中、水産業全体の生産額に占める割合は徐々に増加し、県漁連の速報値では、令和3年は34%となっております。 国は、世界的に増大する水産物需要を背景に、計画的に生産できる養殖業を成長分野の一つとして捉え、生産から販売・輸出に至る施策を総合的に推進しております。 県としましても、「宮崎県海面養殖振興方針」を策定し、大規模沖合養殖システムの導入による養殖生産量の拡大や、人工種苗の早期の供給による養殖業者の競争力強化などの取組を進めております。 一方、陸上養殖は、初期投資と電気使用量が大きいなどの課題があるものの、海面養殖に比べ、天候に左右されない生産環境や、従事者に優しい労働環境などの優位性があることから、国は、その生産実態の把握と振興の在り方について検討を進めております。 県としましては、このような新たな動きやその将来性も注視しながら、関係団体と連携し、本県養殖業のさらなる成長産業化を推進してまいります。 ◆(右松隆央議員) 漁船漁業、それから養殖業とも本県の大事な守るべき基幹産業であります。成長産業化に向けた引き続きの支援をよろしくお願いいたします。 最後の項目として、本県の教育政策について伺ってまいります。 今議会でも取り上げられております、不登校の児童生徒への対応についてであります。 私の知り合いの塾の先生から、市内の小学校に通う2人の児童の不登校の相談をお受けいたしました。不登校に至った詳細な経緯と、現在の深刻な状況をお聞きし、黒木教育長へ御相談させていただいたところ、担当課からすぐに塾の先生に連絡を取っていただき、親身に、そして丁寧に御対応いただきました。心から感謝を申し上げます。 不登校の子供たちへの対応については、今議会の質問の重複を避けさせていただきまして、今回政府が設置を目指している不登校特例校について伺ってまいります。 河野議員も9月に取り上げられておりますが、文科省は、不登校の子供を対象に柔軟なカリキュラムを組める不登校特例校について、全都道府県並びに政令市への設置を目指すこととしました。 不登校特例校は、児童生徒の事情に合わせて授業時間や学習内容を調整でき、フリースクールとは異なり元の学校から転校でき、通常と同じ卒業資格を得られるというメリットがあります。 2017年施行の教育機会確保法で、自治体による設置が努力義務とされましたが、今年4月現在で、財政的な制約などから、設置は10都道府県の21校にとどまっております。 政府が6月に策定した骨太の方針において、全都道府県の特例校設置が初めて明記されたことを受けて、文科省は、夜間中学との連携や公共施設の活用など、先行事例を自治体と共有し、広報活動を強化しております。 財政支援としても、都道府県が特例校を設置する際は、市町村と同様に、教職員の給与を国庫が一部負担する制度の周知も図っているところであります。 そこで教育長に、不登校の児童生徒への対応として、政府が全都道府県への設置を目指す不登校特例校について、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 不登校特例校につきましては、平成29年に施行された教育機会確保法において、設置が努力義務となりまして、今年6月には、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針の中で、全都道府県等での設置の促進が求められております。 また、同じく今年6月に、不登校に関する調査研究協力者会議の報告を受け、文部科学省は、設置の推進を、今後重点的に実施すべき施策として通知しております。 不登校特例校は、通常の学校と同様に転校も可能であり、国は設置において、教職員定数・国庫負担の対象とするなど、財政措置も講じており、他県では、本校から分離して設置する分教室や、夜間中学との併置による設置も見られてきております。 この不登校特例校は、子供の実態に応じた教育課程を編成することができ、不登校児童生徒の教育の機会を確保するための学びの一つであると考えております。 現在、県教育委員会といたしましては、複数の市町と設置に向けた意見交換を行っておりまして、今後も、市町村教育委員会との連携を深めながら、取組を進めてまいりたいと考えております。 ◆(右松隆央議員) 質問の締めくくりとなりますが、私は今の教員離れに大きな懸念を感じております。両親が小学校教諭の家庭で育ちました。毎日、朝早くに学校に行き、遅くに家に帰ってきてからも机に向かう後ろ姿を見て、子供ながらにそのすごさを感じていたものであります。そして今でも、学校の恩師とお会いすれば、背筋がぴっと伸び、畏敬の念を感じ接することも多々あるのであります。 教育は人づくりであります。そして、「国家百年の大計は教育にあり」と言われております。人材育成こそ我が国の「要」であります。それを担っていただく学校の先生方の大切さを感じざるを得ません。働く環境が大きく変わり、デジタル化も一気に進んでおります。人の価値観も多様化し、きめ細やかな対応が求められ、社会の大きな変化にも対応していかなければならない中で、教員には大きな労働負荷がかかっていると、率直な印象を抱かざるを得ないのであります。 私の娘が宮崎国際大学の2年生ですが、今、海外研修でカナダに行っておりますのでこれは言えるのでありますが、親としては、おじいちゃんの跡を継いで学校の先生になってもらいたいと願っております。しかし、今の学校の労働環境の大変さを感じ、無理には言えないのも親心であります。 そこで教育長に、労働負荷が大きいという不安や忌避から教員離れが止まらない中で、教師としての喜びや使命、そして誇りをどのように伝えていかれるのか、希望を持って教員になろうと思っている若者へのメッセージも込めて、お伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 私は、教師という仕事は、子供の成長に出会える、ともすると人の人生の1ページに関わることのできる、かけがえのない職業だと思っております。 議員御指摘のとおり、教育界を取り巻く環境は大きく変化してきておりまして、この課題は重く受け止めております。 しかしながら同時に、教師という仕事のすばらしさもしっかりと発信していかなければならない、そう強く思っております。 教師は常に子供の持っているものを認め、その潜在する能力を引き出し、褒めて、期待する、理想ともいうべき教える力を磨き続けております。言い換えれば、子供の心に届く指導力であります。 その指導力が子供の心に届き、子供が自ら心の扉を開け、昨日までできなかったことをやり遂げる瞬間、まさに成長に立ち会えることこそ、教師としてこの上ない喜びであり、誇りであります。 そして、それはまた、子供の可能性は無限であることを教師が子供から学ぶ瞬間でもあります。教師も成長であります。 人を利して自らも豊かになる。これほど人生をかけるに足る仕事はないと、心から思っております。 ◆(右松隆央議員) 教育長の思いのこもった御答弁に、心から感謝を申し上げます。 最後に、まだ2月議会が残っておりますが、今年度で退職をされます県職員の方々、国に戻られる国家公務員の方、そして御勇退をされます先輩議員の方々に、本県発展への長年の御尽力に心からの敬意と感謝を申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(中野一則) 以上で一般質問は終わりました。──────────────────── ○議長(中野一則) 次に、今回提案されました議案第1号から第30号まで及び報告第1号の各号議案を、一括議題といたします。 質疑の通告はありません。──────────────────── △議案第20号から第22号まで採決 ○議長(中野一則) ここで、教育委員会委員及び収用委員会委員の任命の同意についての議案第20号から第22号までの各号議案について、お諮りいたします。 各号議案については、会議規則第39条第3項の規定により、委員会の付託を省略して直ちに審議することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(中野一則) 御異議ありませんので、そのように決定いたしました。 討論の通告はありません。 これより採決に入ります。 議案第20号から第22号までの各号議案について、一括お諮りいたします。 各号議案については、同意することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(中野一則) 御異議なしと認めます。よって、各号議案は同意することに決定いたしました。──────────────────── △議案第1号から第19号まで、第23号から第30号まで及び報告第1号委員会付託 ○議長(中野一則) 次に、議案第1号から第19号まで、第23号から第30号まで及び報告第1号の各号議案は、お手元に配付の付託表のとおり、それぞれ関係の委員会に付託いたします。 明日からの日程をお知らせいたします。 明日12月1日から6日までは、常任委員会、特別委員会等のため、本会議を休会いたします。 次の本会議は、7日午前10時から、常任委員長の審査結果報告から採決までであります。 本日はこれで散会いたします。   午後1時57分散会...